米国民の預金、大手銀から移動しない理由PHOTO ILLUSTRATION BY DEVIN BLASKOVICH FOR THE WALL STREET JOURNAL

 米国民は国内の最大手銀行に預金し続けることで、何百億ドルもの利息を得られる機会を逃している。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は2008年初め以来の高水準まで金利を引き上げてきた。当時は金融システム危機で米経済が景気後退に陥る直前の時期だ。こうした金利上昇にもかかわらず、米最大手の商業銀行各行は預金者にごくわずかの金利しか提供していない。

 仮に預金残高トップ5行の預金者が、高金利で上位5位の普通預金口座(トップ5行の口座ではない)に預金を移していれば、理論上は今年第3四半期の利息が420億ドル(約5兆7400億円)分増えていたことになる。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータに基づくウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析で分かった。

 実態は複雑だ。最大手5行の第3四半期の利益の合計は、420億ドルを大きく下回っていた。また預金者が大量の資金を移動させていたら、高金利の預金口座の金利水準は引き下げられていたかもしれない。