「アメリカの社会学者ティモシー・ウィルソンは、たった1秒間で人は1000万以上の要素の情報を視覚から受け取り、その中の40要素を脳で処理していると発表しています。この出会って最初の1秒に感じた印象を私は『1秒オーラ』と名付け、オーラのある人とない人の違いはどこにあるのか研究を始めました」

 たった1秒の視覚情報だけで仕事ができそう、厳しそう、優しそうなどの印象を、私たちは無意識的に形成している。しかもこの印象は固定化されてしまうというのが厄介な点だ。

「1秒で形成された印象は、その後なかなか覆らないことも私の研究によってわかっています。というのも私たちの心には一貫性原理といって最初の判断を変えたくないという、しがみつきの心理があるのです。つまり最初の1秒で『怖そう』と脳が判断してしまうと、その印象は固定化され『怖そう』という印象を補足するような情報が優先されるんです。もちろん長く深く付き合う場合は別ですが、ビジネスの場では一瞬の印象が、その後の相手の気持ちや行動を左右してしまうわけです」

 まだ相手のことを知らない段階なのに、なんとなく快・不快に感じた、会った瞬間に気圧されてしまった、という経験はないだろうか。それこそが「1秒オーラ」なのだ。

「多くの人がオーラを感じる瞬間を経験しているにもかかわらず、そのオーラとは何かということは具体的に解明できていません。逆に言えばオーラさえ身に付けてしまえば言語的要素を駆使することなく、どんな相手の心もつかむことができます」

 大人数で踊るアイドルの中にも、そこだけスポットライトが当たっているかのように目を引き付けられる存在がいる。そんなオーラの正体を、量子力学的に解説している学者もいるという。

「アインシュタインは光量子仮説で、光は波と粒子の性質を併せ持つと言いましたが、ドイツの理論生物物理学者フリッツ・アルバート・ポップ博士は1997年の論文で『意識とは光だ』と発表しています。つまり、人は意識という光、小さな粒子(フォトン)を発信していて、その情報をキャッチした人がオーラと呼んでいるのではないか、という説です。本来目に見えないオーラの存在を量子力学的に解説した、興味深い論文でした」