黒田ショックは
新しい日銀総裁への配慮ではないか

 さて、まだ黒田ショックが今後どうなるのかは推測の域を出ない状況ではあるのですが、私は今回の発表の本質は、政策の転換ではないと読んでいます。

 黒田総裁はもうすぐ任期を終え、来年4月からは新しい日銀総裁が誕生します。

 黒田総裁の10年間は一貫して異次元緩和を続けるという政策スタンスを変えなかったわけですが、新しい総裁に対してその政策を引き継ぐように要請するのは正しいスタンスではありません。世界の経済情勢も日本の経済事情も大きく変化していく中で、次の総裁は次の時代に向けた独自の金融政策を考える必要があるわけです。

 そこで少しだけ足かせを外しておいたほうが後任はやりやすくなるだろうというような配慮から、次の日銀総裁が異次元緩和を継続するか、方針を転換するか、どちらでも選びやすいように金利を0.25%だけ引き上げた。それが今回の黒田ショックの真意ではないか、と私は推測しています。

 アメリカにしてもEUにしても、今年の特に中盤以降は毎月のように0.50%から0.75%というレベルの大幅な利上げを繰り返してきたわけで、日本が一度だけ0.25%の利上げを行うのはそれほど大きな政策変化ではありません。むしろ「日本も変化するかもしれないよ」というシグナルを送るのが目的だったというのが私の解釈です。

 ただ、この説明では住宅ローンを借りている読者にとって、不安の解消にはなりませんね。

 来年3月までは黒田総裁の下でこれ以上の利上げはないとしても、4月以降の次の総裁が利上げに踏み切る可能性は残っているわけです。その点はどうなのでしょうか?

 実は住宅ローンを借りている読者の皆さんが大きな不安を抱えているという事実自体が、次の日銀総裁にとっての新しい政策の足かせになるというのが、この問題に対する私の未来予測です。その点について説明したいと思います。