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「脳」がわかれば「なぜ?」がわかる!

「キレる」子供の脳は、どうなっているのか?

──脳の中にある「アクセル」と「ブレーキ」の関係

山元大輔 [監修] [東北大学大学院生命科学研究科教授/理学部生物学科教授]
【最終回】

人間は、脳あってこその存在。人の行動、思考、感情、性格にみられる違いの数々は、すべて脳が決めているのです。「心の個性」それはすなわち「脳の個性」。私たちが日常で何気なく行なっていることはもちろん、「なぜだろう?」と思っている行動の中にも「脳」が大きく絡んでいることがあります。「脳」を知ることは、あなたの中にある「なぜ?」を知ることにもなるのです。この連載では、脳のトリビアともいえる意外な脳の姿を紹介していきます。

些細なきっかけで暴発

 最近、少年少女の事件が起きるたびに「キレた」という言葉が登場します。キレると瞬間的に頭に血がのぼり、そのまま暴力的な行為に走ってしまうのです。

 キレるのに明確な理由がない場合もあります。人間関係や仕事が思うままにならず、精神的にイライラした状態に追い詰められてしまう。その結果、ほんの些細なきっかけで不満が瞬間的に暴走、暴発してしまうのです。

 子供たちの場合、親や学校での管理に息苦しさを感じてキレることもあれば、イジメによってキレることもあります。それまではなんとか耐えていたものの、限界に達するとプツンと糸が切れるように暴発するのです。

 では、その「キレる行為」と「脳」との間に、どんな関係があるのでしょうか?

アクセルとブレーキ
のバランスが崩れたとき・・・

 医学的には、キレる行為と脳との関係ははっきりとは解明されていません。ただし一説によれば、脳の複数の機能が衝突してショート し、脳そのものが混乱したからだと考えられています。

 その主役になるのが、人間の3つの脳です。

 人間の脳は、もっとも奥に動物が生きていくための大脳基底核と脳幹があり、その周囲に大脳辺縁系が、さらにその外側には大脳新皮質があります。

 ただし、大脳基底核と脳幹は大脳辺縁系に含まれるとみることもできます。さらに、大脳新皮質は人間で特に発達した脳であり、知性や思考といった高度に精神的な分野を担当している器官なのです。

脳はうまくバランスをとり続ける 通常、3つの脳はそれぞれの役割を分担し、微妙にバランスをとっています。

 動物としての本能を担う大脳基底核と脳幹が暴走しようとすれば、理性を担う大脳新皮質がこれを抑えるといった具合です。セックスへの欲望が激しくなったとき、常識がそれを抑えようとするのもそれにあたります。いってみれば、3つの脳は“アクセル”と“ブレーキ”の役割を果たしているのです。

 そのアクセルとブレーキがうまくみ合っていれば、人間の精神状態はバランスを保ち、行動も常識的な範囲におさまっています。悩みや苦しみを抱えながらも、多くの人間はこのようなバランスのとれた状態にあるのです。

 しかし、そのアクセルとブレーキが変調をきたしたとき、精神状態はアンバランスになり、ふとしたきっかけで瞬間的に脳内の秩序が崩壊してしまいます。アクセルは踏みっぱなしになり、しかもブレーキが壊れている状態になってしまうのです。それが一般に“キレた”状態だと推定されています。自分でも自分の暴力が止められないのは、このためなのです。


<今回をもちまして当連載は終了いたします。ご愛読ありがとうございました>

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山元大輔 [監修] [東北大学大学院生命科学研究科教授/理学部生物学科教授]

1954年東京都生まれ。東京農工大学農学部卒業後、同大学院農学研究科修士課程終了。理学博士(北海道大学)。ノースウエスタン大学医学部博士研究員、三菱化学生命科学研究所室長を経て、1999年から早稲田大学人間科学部教授。同大学理工学部教授を経て、現在、東北大学大学院生命科学研究科教授。同大学理学部生物学科教授。


「脳」がわかれば「なぜ?」がわかる!

人間は脳あってこその存在。行動、感情、性格の数々はすべて脳が決めています。「脳」を知ることは、あなたの中の「なぜ?」を知ること。当連載では、脳のトリビアともいえる、意外な脳の姿を紹介していきます。

「「脳」がわかれば「なぜ?」がわかる!」

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