阪急阪神百貨店Photo:PIXTA

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2022年10〜12月度の百貨店編だ。

三越伊勢丹、阪急阪神百貨店は
3カ月連続で2桁増収

 百貨店の主要4社が発表した2022年10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯三越伊勢丹の既存店売上高
 10月度:前年同月比122.9%(22.9%増)
 11月度:同113.9%(13.9%増)
 12月度:同113.3%(13.3%増)

◯髙島屋の国内百貨店売上高
 10月度:前年同月比114.3%(14.3%増)
 11月度:同105.3%(5.3%増)
 12月度:同104.6%(4.6%増)

◯大丸松坂屋(J.フロント リテイリング)の百貨店事業合計
 10月度:前年同月比112.0%(12.0%増)
 11月度:同108.7%(8.7%増)
 12月度:同108.7%(8.7%増)

◯阪急阪神百貨店(エイチ・ツー・オー リテイリング)の既存店売上高(※)
 10月度:前年同月比120.1%(20.1%増)
 11月度:同111.1%(11.1%増)
 12月度:同110.2%(10.2%増)

※屋号変更の影響で19年10月〜20年9月のみ開示があった「既存店売上高」の指標をベースにしているため、20年10月以降は「全店売上高」を便宜上「既存店売上高」と表記している。

 今回取り上げる4社の22年10~12月の実績は、いずれも前年実績を上回っており、特に三越伊勢丹と阪急阪神百貨店では3カ月連続で2桁のプラスとなった。

 百貨店は新型コロナウイルス感染拡大による行動制限の影響、インバウンド(訪日外国人観光客)需要の激減などで、特に大きな打撃を被った業界の一つだ。昨年夏以降、行動制限の撤廃で人々の消費活動が活発になったことや水際対策の緩和でインバウンド需要が増加したことにより、業績は回復傾向にある。

 だが、コロナ禍での売り上げの落ち込みが激しかった分、百貨店の業績はコロナ前の水準と比較して確認することが重要だ。これまで「業界天気図」企画で取り上げてきた業界の中には、前年同月比では好業績に見えてもコロナ禍で落ち込み過ぎた分の反動であったケースが少なくない。百貨店はどうだろうか。

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