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日本を元気にする経営学教室III

水面下の要素にフォーカスせよ
企業文化を変える方法論
ヘイグループ プリンシパル 滝波 純一

カルチャー・トランスフォーメーション(2)

滝波純一 [ヘイ コンサルティング グループ プリンシパル],松尾博文 [神戸大学大学院経営学研究科教授]
【第3回】 2013年2月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 前回は、カルチャー・トランスフォーメーションとは何か、何故、今それが重要で、また難しいのかについて述べた。第2回目は、確立されつつあるカルチャー・トランスフォーメーションの方法論を紹介したい。

 筆者が所属するヘイグループの調査・研究から、企業文化には、3つのポイントが存在することが分かってきている。

1.表面的に見える要素だけでなく、目に見えにくい水面下の要素が存在し、これが大きな影響を持っている。

2.企業文化は、個人(動機や価値観)、社会・グループ(人間関係)、組織(目的や存在意義)の3つの側面が絡み合っている。

3.企業文化と、それが作りだす結果の間には、一連の流れがある。

 これらのポイントをうまく活用することで、企業文化の変革が可能となる。以下、それぞれについて、見てみよう。

1.水面下の要素に
標準を合わせる

 企業の会議室に、社員の行動変革を意図した標語が掲示されているのを、皆さんも見かけたことがあるだろう。例えば「チャレンジ精神」とか「顧客主義」といったものである。あるいは、人事制度の評価項目の中に、そういったものが入っている企業もあるだろう。

 そういうものをみると、「なるほど、この会社らしい」としっくりくるケースもあれば、いかにも表面的で、しらじらしく見えるケースもある。たしかに、こういった標語や、人事制度、あるいは行動要件といったものは、企業文化を形作る要素の1つではある。しかし、もっと深いところで、行動に大きな影響を与える要素が存在する。根本的な信条・価値観や、組織間で共有された存在意義や目的などである。

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滝波純一 [ヘイ コンサルティング グループ プリンシパル]

たきなみ じゅんいち/京都大学工学部卒業、同大学院応用システム科学修士、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経営学修士(MBA)。東レ株式会社、ボストン コンサルティング グループを経て、2009年より現職。2010年より同社コンサルティング部門責任者。医薬品、消費財、流通、情報通信等の幅広い業界に対し、グローバル人事制度構築、リーダー育成、M&A支援等、幅広いコンサルティングを実施。

松尾博文 [神戸大学大学院経営学研究科教授]

まつお・ひろふみ
京都大学工学部数理工学科卒業。1984年米マサチュ-セッツ工科大学大学院経営学研究科博士課程修了。米ペンシルバニア大学経営大学院客員準教授、米テキサス大学オースティン校経営大学院教授(Fred H. Moore Professorship)、筑波大学社会工学系教授を経て、2004年から神戸大学大学院経営学研究科教授。専攻はオペレーション・マネジメントとサプライチェーン・マネジメント。国際的学術雑誌の論文多数、編集委員を歴任。現在、日本オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会会長。


日本を元気にする経営学教室III

【シリーズ「オペマネの思考法」/松尾博文】
オペレーションズ・マネジメント(オペマネ)は欧米のビジネススクールでは必須科目である。オペマネは、製造業とサービス業の事業プロセスを対象とする学問体系で、企業と組織の事業プロセスを中心に、製品、顧客、マーケティング、経営、戦略を考える科目である。本シリーズでは、オペマネの基本的な思考法を解説し、日本の製造業が陥っている問題点の解決策を、事業プロセスの見直しというオペマネの方法論から議論する。簡単な事例、極端な事例、理論と実践を取り混ぜて、論理的に考えるための糧(Food for thought)を提供することを目指す。

 

【シリーズ「カルチャー・トランスフォーメーション」/滝波純一】
企業文化は経営そのものである」というのは、1990年代に瀕死のIBMをよみがえらせたルイス・ガースナーの言葉である。多くの経営者は企業文化が業績に及ぼす影響がいかに大きいか知っている。一方で、企業文化を変革することが、いかに難しいかも、多くの人の知るところである。近年、人事・組織の領域では、日本よりも、海外の方が一歩進んでいると言わざるを得ないのだが、海外では「カルチャー・トランスフォーメーション」として、多くの企業が企業文化の変革に取り組んでおり、そこから有効な方法論も見出されつつある。事業環境が激変する中、日本企業にとっても企業文化の変革は喫緊の課題であり、海外での取組・確立されつつある方法論から学ぶべき点が多いのではないだろうか。本連載では、「カルチャー・トランスフォーメーション」について、紹介していきたい。

 

「日本を元気にする経営学教室III」

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