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China Report 中国は今

反日デモでイトーヨーカ堂が
ほとんど無傷だった理由

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第119回】 2013年2月15日
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中国を知り尽くした男

 2012年9月の反日デモで、中国の日系小売店舗はその標的とされ、デモ参加者による破壊行為や略奪行為が行われた。しかし、イトーヨーカ堂の店舗だけは北京でも成都でもほぼ無傷だった。その理由はどこにあるのだろうか。

 筆者は、ある人物にスポットを当てた。麦倉弘さん、65歳。2012年3月まで中国に駐在していたイトーヨーカ堂の前中国総代表だ。麦倉さんは中国にイトーヨーカ堂を立ち上げた創業メンバーのひとりであり、かつ中国駐在15年の“筋金入り”。昨年帰国し、現在はホールディングスの顧問に就いている。

 東京・四谷のセブン&アイ・ホールディングスで待っていてくれたのは、10年前に北京で会ったときと少しも変わらぬ麦倉さんの姿だった。

 「俺、もう65歳よ。いい加減、引退させてくれってお願いしたんだけど、鈴木さんが『(引き続き)やればいいじゃないか』と。鈴木さんに言われちゃかなわないね」――。

 鈴木さんとはセブン&アイ・ホールディングスの代表取締役会長の鈴木敏文さんのことだ。「中国を知り尽くした男」をおいそれと手放さないのも無理はない。

<イトーヨーカ堂の中国展開>
1996年4月、中国国務院から外資系小売業として初のチェーンストア全国展開の認可を得る。96年12月に「成都伊藤洋華堂有限公司」を設立後、97年10月に「華糖洋華堂有限公司」設立。2013年2月現在、北京では「華糖洋華堂」8店舗、「成都伊藤洋華堂」5店を展開。04年にヨークベニマル、北京王府井百貨集団との3社の合弁で設立した「王府井洋華堂」は、13年に解消。1号店はクローズし、2号店を華糖洋華堂に吸収した。写真は北京1号店の十里堡店 Photo by Konatsu Himeda

 麦倉さんに中国行きの打診があったのは96年12月のことだった。「中国の成都に店を出すからやらないか」と白羽の矢が立ったことから、直後、成都イトーヨーカ堂(成都伊藤洋華堂)に飛び、2012年3月に帰任する直前の数年間は、中国総代表と北京華藤洋華堂の董事長・総経理の要職に就いていた。

 もともとイトーヨーカ堂の中国進出は、「中国の小売改革」という国家プロジェクトに乗ったものだった。90年代中盤、中国政府は流通の近代化に向け、大型チェーンストア経営の確立を目指し、外国の有力小売業からのノウハウ導入を急いでいた(このあたりは『巨龍に挑む』(湯谷昇羊著、ダイヤモンド社刊)に詳しい)。96年春、ついにイトーヨーカ堂は中国国務院から外資系小売業として中国展開の認可を手にし、海外初出店の足がかりを掴んだ。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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