ブレストや壁打ち用途でも、英語で質問すると回答が充実する

 英語メールの文面を探す時だけでなく、自分でブレストしたり壁打ちする際も英語で質問したほうが充実した回答が返ってくる。英語が苦手な筆者の場合、生成された返事も翻訳して読んだ方が早いので、「DeepL翻訳」を活用している。ブラウザのタブをいちいち切り替えるのが面倒なので、「Vivaldi」というWebブラウザで、ウェブページをタイル表示できる機能を使い、ChatGPTと「DeepL翻訳」を並べている。この状態なら、画面の右左でコピペを繰り返すだけで済む。

 試しに、まず日本語で「ネット詐欺の危険性を周知させるにはどうすればいいか」と聞いてみた。すると、教育、警告、法律改正、セキュリティ強化、情報の裏取り、という5つの答えを提示してくれた。そして、この日本語を「DeepL翻訳」で英語にして質問したところ、教育、啓発キャンペーン、具体的な対策の説明、支援の提供、関係当局に報告、企業と連携、政府による規制という7つの取り組みを提示してくれた。この場合も、英語で聞いた方が情報量が多かった。

日本語で聞くと、5つの選択肢を提示してくれた日本語で聞くと、5つの選択肢を提示してくれた 拡大画像表示
英語で質問すると、7つの選択肢が出てきた英語で質問すると、7つの選択肢が出てきた 拡大画像表示

 ちょっと回答が大雑把だったので、「具体的に、どのように啓発キャンペーンを行えばよいのでしょうか? 予算はあまりありません(How exactly can we conduct an awareness campaign? We do not have much of a budget.)」と続けて聞いたところ、6つの手段を提示してくれた。

 SNSを活用し、地域団体と連携し、政府が出している無料の情報源を利用し、地元メディアに働きかけ、友人や家族に口コミで広めるよう呼びかけ、ワークショップやセミナーなどを開催する……といった内容だ。どれも納得のプランで、説得力がある。

 さらに、「SNSで発信すべき内容は?(When using social media to publicize online fraud, what content should be sent out?)」 と聞いてみると、

1:インフォグラフィックスで情報を分かりやすく魅力的に見せる
2:短い動画でオンライン詐欺に関する情報を伝える
3:ブログ記事でオンライン詐欺や自衛策を投稿する
4:ソーシャルメディアへ投稿する。人目を惹くハッシュタグを使う
5:ウェビナーやライブストリーミングなどのライブ配信を行う
6:オンライン詐欺の実例を紹介する

 と回答してくれた。ChatGPTでブレストすることで、目的を達成するためのアクションプランを策定する作業が格段に楽になることは間違いない。人が考えるより、抜けや漏れもなさそうだ。

AIは万能ではないが、今から上手に付き合っていくべき

 ChatGPTは既存の情報をこねくり回して出力しているので、新たな発想はできない。AIを使って空いた時間は、人間の思考力は新しい何かを生み出すことに注力するといいだろう。例えば、「ネット詐欺師にアポを取ってインタビューする」といった突飛な考えは、今のところ人間にしかできないからだ。

目標を実現するための手段をChatGPTに教えてもらう目標を実現するための手段をChatGPTに教えてもらう 拡大画像表示

 ChatGPTはまだまだ不完全で正確な情報を返してくれるわけではないので、正確な情報を調べるのには向いていない。まだしばらくは、Googleなど検索エンジンで検索するスキルも有効なままだ。しかし、ChatGPTにいい質問ができれば、驚くほど使える答えが瞬時に返ってくる。それを時短ツール、アイディア発見ツールとして活用すれば、ビジネスの効率は格段に向上する。今のうちからChatGPTに触れておき、生成AI活用スキルを磨いておくことを、強くお勧めする。