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田中均の「世界を見る眼」

緊迫化する北朝鮮情勢
核実験強行の狙いと国際社会に求められる覚悟

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第17回】 2013年2月20日
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3回目の核実験に込められた
4つのメッセージ

 ミサイル実験に続く北朝鮮の3回目の核実験により、朝鮮半島情勢は著しく緊迫化していくのは避けられず、細心の注意が必要である。

 今後、国際社会は安保理決議に繰り返し違反する北朝鮮に対して強い措置を取ることとなるのだろうが、具体的にどのような展開が予想されるのであろうか。そして日本はどのような考えで行動していくべきなのか。

 まず、北朝鮮は今回の核実験を強行することで、どのようなメッセージを送ることを意図したのか考えてみよう。

 第一に、北朝鮮は核弾頭の小型化に成功し、米国本土を射程に収めるミサイルで米国を狙えるという印象を与えたかったのだろう。果たして、北朝鮮の核ミサイル開発がそのレベルに達しているかどうかは検証の術はないが、そのような印象を与えることには成功したようである。オバマ大統領も、今回の実験は米国自身への安全保障上の脅威となっていると声明で述べている。

 第二に、北朝鮮は核兵器国であるということを既成事実化したかったのであろう。ここに至るまで米国などに対し、接触の機会ごとに「北朝鮮を核兵器国として認めよ」という要求をしてきた。

 北朝鮮にしてみれば、インドやパキスタンのように事実上の核兵器国として抑止力を持ち、かつ国際社会から援助を受けうるような地位が最も好ましいと考えているのであろう。

 しかし、北朝鮮を核兵器国と認知することは絶対に避けなければならない。国際法規に違反してきた北朝鮮の核開発を認めれば、核不拡散体制に大きな穴を開けることになる。また、もし事実上の核兵器国として認めれば、朝鮮半島の非核化は実現しないことを認めるに等しい。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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