早慶に共通して見られた
就職先の意外な特徴とは?

 早大では、前年2位のNTTデータと4位のアクセンチュアが87人で1位、前年7位だった国家公務員一般職が65人で3位となった。コンサルティング業界と公務員の就職が伸びている。

 この結果には、コロナ禍が少なからず影響を与えていそうだ。「不確実性が高まる中、個人としての能力を高められる環境で働きたい」と考える学生が増え、ここ数年、コンサル人気は高まり続けてきた。また安全志向が強まり、民間企業への就職を様子見する学生が増えていることがうかがえる。

 4位には前年5位の東京海上日動火災保険、5位には同3位の楽天グループ、6位には同1位の富士通がランクイン。いずれも数年来変わることのない、早大生の人気上位企業だ。特に楽天グループ人気は、早大に限らず多くの有名国公立大・私立大で見られる傾向だ。

 ほかには、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、りそなグループ、SMBC日興証券などの金融、NEC、三菱電機、日立製作所などの電機が強い。

 次に慶大だが、1位は前年3位の慶應義塾、2位は同4位のアクセンチュア、3位は同11位のPwCコンサルテイングとなった。早大同様、コロナ禍の影響を受けた結果といえそうだ。

 目を引くのは、就職者数が97人とダントツで多い慶應義塾。職種の内訳は不明だが、大学の中では就労環境が比較的充実していること、卒業生の愛校心が強いことなどの理由が考えられる。

 前述の2社に加えて野村総研、ベイカレント、アビームなどのコンサルや、トーマツ、あずさなどの監査法人への就職は、早大よりも強そうに見える。三菱UFJ銀行、東京海上日動火災保険、みずほ銀行、大和証券、野村證券など金融系への就職もやはり多い。

 早慶のランキングを俯瞰すると、卒業生の進路に大きな偏りは見られず、様々な企業・団体で活躍している印象だ。良い意味で、どんな分野の仕事でも一定レベル以上の成果を出せる、バランスの良い優秀な学生が揃っているということだろう。

 私学の雄である早慶は、就職先も良きライバルである。

*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。

【ランキング表の見方】
2022年春の大学別の主な就職先。就職先(企業・団体)の名称は、原則としてアンケート調査時点の各大学の回答による。また、大学通信の調査方法によって表記しており、正式名称と異なる場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。大学院修了者を含む。(調査/大学通信)