保険ラボ

SBI損保×BYDが始めた
オリジナル保険の衝撃

 ダイレクト系損保のSBI損害保険が中国・深圳に本社を構える電気自動車(EV)メーカー、BYDと始めた自動車保険。その販売手法に、損害保険業界でにわかに注目が高まっている。

 BYDといえば、EV販売台数でトップの米テスラを追う世界第2位のEVメーカーだ。2022年時点で、従業員数は全世界で60万人を抱え、売上高8兆円超、時価総額は約12兆円に達している。日本では23年1月末からSUV(多目的スポーツ車タイプ)の「ATTO3」を、第1弾商品として販売している。

 そのATTO3の上陸と同時に販売を開始したのが、「BYD e自動車保険」。引き受け保険会社は、損保業界の盟主である東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、それにSBI損保の3社だ。基本補償である対人/対物賠償責任保険や人身傷害保険、車両保険などに加えて、「BYD eプレミアムセレクト」と称したオリジナル補償が自動的に付帯される。タイヤやホイール、バンパーなど六つの部位が対象だ。

 今回の「BYD e自動車保険」などのように、輸入車が日本市場に上陸した際などに、損保会社がメーカーとタイアップし、ディーラーでオリジナルの保険商品を販売することは珍しくない。

 だが、前出の損保3社の組み合わせは前例がない。自動車保険の流通における常識を破る初の事例であり、商習慣を破壊する可能性を秘めている。故に、損保関係者の耳目を集めているのだ。

 その理由について、次ページで詳しく解説するとともに、ATTO3の発売から3カ月間における、最新の保険契約の動向も合わせて詳述していこう。