FRB・ECBの「微妙なかじ取り」、利上げ減速でも量的引き締め維持は何を示すかPhoto:Win McNamee/gettyimages

利上げの減速・停止に動く欧米中銀
今後の焦点は量的引き締めの行方

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、次回以降の利上げの停止の可能性をにおわせた。

 欧州中央銀行(ECB)も5月理事会で利上げ幅を0.5%ポイントから0.25%ポイントへと減速し、ラガルド総裁は政策金利の最高到達点に近づいたと考えていることを示唆した。

 一方で、保有資産の削減、つまりバランスシート縮小による「量的引き締め」については、FRBが現状のペースを維持する方針を確認したほか、ECBは7月以降に再投資による調整を廃止し、償還をそのまま放置することで、むしろ加速させる方針を表明した。

 利上げは減速しながら量的引き締めを維持するのは、一見、矛盾するようにもみえるが、微妙なかじ取りが必要なのは、量的引き締めの効果や資産価格などへの影響が十分にわかっていないことがある。

 ゼロ金利制約の下で各国中央銀行は従来の伝統的な金融政策とは異なる量的緩和を進めたが、知見の乏しい量的引き締めでは一層の試行錯誤が続くといっていい。