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米国の公定歩合引き上げでわかった
世界経済を脅かす「地雷の在りか」

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第114回】 2010年2月23日
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 2月18日、米国のFRBは公定歩合を0.50%から0.75%に引き上げると発表した。

 公定歩合の引き上げについては、バーナンキ議長が、2月10日に実施を示唆する発言を行なっていたものの、多くの市場関係者は、「FRBが、予想外の早期に公定歩合の引き上げを行なった」と受け取った。

 それに伴い、わが国をはじめとするアジアの株式市場は、一時大幅に下落し、為替市場ではドルの買い戻しが活発化してドル全面高となり、円は一時対ドルで92円台と弱含みの展開になった。

 こうした動きの背景には、FRBが公定歩合引き上げに続いて、金融政策の引き締めを実施する時期が早くなるとの観測がある。現在の世界経済は、主要国の積極的な景気刺激策と、超緩和の金融政策に支えられている部分が大きい。

 金融政策の変更、つまり「出口戦略」が早まるようだと、“病み上がりの景気”の腰を折ってしまうことも懸念される。それは、まさに世界経済が抱えるリスク(地雷)といっても過言ではない。

 多くの投資家は、「今回のFRBの措置によって、その地雷が爆発するかもしれない」という連想を働かせたのだ。

 世界の主要国の金融政策を見ると、すでに豪州は利上げを実施している。バブルへの対応を急ぐ中国は、すでに2回に渡って預金準備率を引き上げており、「早ければ4月にも利上げがある」との観測が出ている。

 主要国においては、今後金融政策の正常化を目指して、金利引き上げが続くことが予想される。ただし、そのタイミングが早すぎると、上昇傾向を辿りだした景気を、再び下落させてしまうことも考えられる。

 今回のFRBの措置によって、そのリスク(地雷)の存在が、一段と鮮明になったと考えられる。今回は、米国による利上げのインパクトについて、考察してみよう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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