雪崩を打って資金が流入
狂喜乱舞の株式市場

 衆議院解散後の昨年11月中旬、野村證券の担当セクションには、海外の投資家からの問い合わせが続々と入っていた。

「それまではこちらから連絡しても面会の約束がなかなか取れなかったのに、これまで付き合いのなかったファンドからも問い合わせが入った」(田村浩道・野村證券チーフ・ストラテジスト)

「安倍晋三氏が首相になると日本は何が変わるのか」「為替の感応度はどのくらいか」「トヨタは何で稼いでいるのか」など、初歩的な質問が多く、これまで海外投資家の日本株に対する関心がいかに薄かったのかがうかがえた。

 しかし、状況は一変した。

 昨年12月以降、ヘッジファンドを中心とする海外投資家は、日本株を大きく買い越し、2012年12月~13年1月の累計買越額は、実に2兆7827億円に上った。

 動きだしたのは海外投資家だけではない。12月以降、個人(信用取引)も買い越しに転じたのだ。

 ネット証券大手のカブドットコム証券では、12月は売りと買いが拮抗していたが、1月は1日を除いて買い越しとなった。新規の口座開設も、12月の3000件から1月には6000件に倍増。「1日平均のログイン数は、11月が8万人だったのに対し、1月は11万人まで増えている」(荒木利夫営業本部副本部長)と大盛況だ。

 活況に沸く株式市場を見て、これから株を始めようという人もいるだろう。肝心なのは上げ相場に踊らされないように、株投資のイロハを押さえることだ。

 約3500社ある上場企業の中から投資する銘柄を選ぶためには、短期的な価格変動や感情に揺さぶられることのない、明確な自分の“モノサシ”を持っていることが重要だ。