ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
幸福大国デンマークのデザイン思考
【第2回】 2013年2月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
大本 綾

デンマーク人は本当に幸せなのか?
住んで初めてわかった「幸福感」の違い

1
nextpage

デンマークというと、多くの日本人は「幸福大国」というイメージを持つかもしれない。しかし、本当にデンマーク人は幸せなのだろうか? デンマークに留学中の大本綾さんが、現地で彼らの生活や習慣、価値観についてインタビュー。すると、日本とは大きく異なる幸せの感じ方や、成功に対する考え方が見えてきた。デンマークでの気づきや学びをリアルタイムで書き記す「留学ルポ」連載、第2回。

幸福大国は本当?

 世界一幸福の国として知られるデンマーク。充実した社会福祉制度のおかげで誰もが幸せに暮らしている姿は、日本のメディアで見覚えのある光景です。しかし、本当にみんな幸せなのでしょうか?

 その秘密を探ろうと、あるときデンマーク人の友人に話しかけました。「デンマークは世界一幸福の国で有名だけど……」と言うと、「デンマーク人は世界一幸せではないと思う。野心的でないから、失望することもないだけだよ。満足しているという言葉の方が合うかもしれない」と彼は言いました。

 デンマークに実際に暮らしてみて彼の言葉に納得するところもあり、一方で幸福大国への期待が外れた気分です。そもそもデンマーク人にとっての幸せとは何でしょうか。何かを達成して初めて得られるものでしょうか。それとも身近にあって、気づくものでしょうか。

 英レスター大学の調査、米国の調査期間ワールド・バリューズの幸福度ランキングでは、デンマークはトップです。(日本はそれぞれ90位と43位)。25%の高い消費税を払っていても、個人が負担する量がフェアであること、必要なときに必要なものを手に入れることができる、というのが主な理由で80%以上のデンマーク人は満足していると言われています。

 高負担の代わりに医療費は無料、小学校から大学まで無料で教育を受けることができます。さらに、失業保険も4年間、現役時代の90%が保証されます。留学生の私でさえ、学生ビザを取得したら医療費は無料です。

 その上、デンマーク第二の都市オーフスは、長寿者が元気と活力のある生活を送っている社会「ブルーゾーン」の研究で知られる、アメリカのダン・ベッドナー氏の調査で、地球上でもっとも幸せな4都市の内の1つとして紹介されています(他3都市は、シンガポール、メキシコのモンテレイ、アメリカのカリフォルニア州にあるサンルイスオビスポ)。

 人口約31万人のオーフスにはアーティストや学生が多く住み、異なる宗教観を持つ人々が共存しています。住民たちの間で収入の差がそれほど大きくはないので、コミュニティーに属している感覚や皆平等であることが感じられるようです。また海にも近く、自然に触れる機会が多いところも特徴的です。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
キーワード  留学
「水」のように生きる

「水」のように生きる

植西 聰 著

定価(税込):本体1,300円+税   発行年月:2016年8月

<内容紹介>
「流されて、流して、浮かんで、柔軟に、恵みを与えて、かたよらずに、清らかに……」といった水の特性になぞらえて「無理せず、あせらず、逆らわず」に生きることを心がけると、人生は思いのほかうまく回っていくもの。 そして、その先には、誰もが望む「穏やかな人生」が待っている。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、8/14~8/20)


注目のトピックスPR


大本 綾 [おおもと・あや]

1985年生まれ。立命館大学産業社会学部を卒業後、WPPグループの広告会社であるグレイワールドワイドに入社。大手消費材メーカーのブランド戦略、コミュニケーション開発に携わる。プライベートでは、TEDxTokyo yz、TEDxTokyoのイベント企画、運営に携わる。2012年4月にビル&メリンダ・ゲイツ財団とのパートナーシップによりベルリンで開催されたTEDxChangeのサテライトイベント、TEDxTokyoChangeではプロジェクトリーダーを務めた。デンマークのビジネスデザインスクール、The KaosPilotsに初の日本人留学生として受け入れられ、2012年8月から留学中。


幸福大国デンマークのデザイン思考

ビジネスデザインスクール留学ルポ

世界で最も刺激的なビジネススクールとして注目されるデンマークの「The Kaospilots」に、初の日本人留学生として受け入れられた大本綾さん。彼女が世界のデザインスクール最前線での学びをリアルタイムで書き記す「留学ルポ」連載。日本ではまだ馴染みの薄いデザイン思考だが、近年、欧米ではビジネスや社会に変革を起こす発想法として、俄然注目を集めている。
また、デンマークは幸福大国として知られているが、その実態はあまり日本人には馴染みがない。彼らの価値観から教育、公共デザイン、ライフスタイル、社会福祉、家具、ファッション、広告、食事、子育てまで、現地で取材しながらレポートしていく。月1回掲載予定。

「幸福大国デンマークのデザイン思考」

⇒バックナンバー一覧