住民税のイメージ写真Photo:PIXTA

6月は「住民税の季節」だ。今回は以前から温めていた住民税に関する「三つの落とし穴」について前後編2回に分けてお伝えしたい。前編の本記事では、住民税によって思わぬ手取り収入ダウンに見舞われてしまう恐れと、税金の控除で大きな損をしかねないリスクの二つの落とし穴について解説する。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

以前から温めていた
「住民税の落とし穴」を伝えたい

 例年5月と6月は住民税に関する記事が多い。住民税は前年の所得に課税されるため、社会人1年目は住民税がかからず、2年目の6月の給料から天引きがスタートする。社会人2年目の人に向けて注意喚起をしつつ、その他の読者に住民税の仕組みを解説する「季節もの」のテーマなのである。

 筆者は以前から、住民税について当コラムで取り上げたいと考えていたネタを三つ温めていた。みなさんの関心度が高い6月のうちに「住民税に関する三つの落とし穴」について前後編の2回に分けて解説する。

住民税の落とし穴(1)
役職定年、定年後再雇用時の手取り額激減

 給与にかかる所得税は、毎月収入に応じた額が源泉徴収され、年末調整で過不足を調整する。

 一方住民税は、前年の1~12月の所得を基に計算し、約半年遅れで税額が決まる仕組みだ。会社員は6月から翌年5月まで12回にわたって給与から天引きされる。自営業者や退職者、年金生活者は、市区町村から送られてくる納税通知書に基づいて、一括か年4回に分けて納めることになる。

 住民税で注意が必要なのは、社会人2年目だけでない。役職定年や定年後再雇用で収入が大幅ダウンした人は、額面の減少以上に手取り額が激減することをあらかじめ知っておきたい。

 定年後に再雇用で働くAさんのケースで手取り額の推移を見てみよう。