猫の避妊は「手術より注射」が有望?小規模研究で高い効果が判明写真はイメージです Photo:PIXTA

 猫の個体数を抑制するための手段としては、生殖腺を外科的に摘出する不妊手術が主流であるが、より効果が高く安全な避妊法として、1回の注射で済む避妊治療が有望であることを示した小規模研究の結果が報告された。米シンシナティ動植物園の動物研究部長であるWilliam Swanson氏らによる研究で、「Nature Communications」に6月6日掲載された。

 Swanson氏は、「1回の注射で生涯を通して不妊になる可能性のある避妊薬は、不妊手術という現在の標準的な治療法に比べて多くの利点がある」と述べる。現在、雄猫に対しては、全身麻酔で精巣(睾丸)を切除する去勢手術、雌猫に対しては、卵巣のみを摘出するか、卵巣と子宮の双方を摘出する避妊手術が行われている。このような不妊手術は、猫の繁殖を抑制する上では有効だが、デメリットもある。

 例えば、「手術には、専門的な器具や医療用品、獣医の専門的な技術、麻酔薬や鎮痛薬が必要であり、術後のケアも必要だ」とSwanson氏は指摘する。また、保護された猫の数が多くなければ、不妊手術は頭数コントロールのための効果的な手段となり得るが、「世界中の何億匹もいる野良猫の繁殖をコントロールするには十分な手段ではない」と同氏は強調する。