保険ラボ

損害保険ジャパンは2022年度、保険引受利益が198億円の赤字に転落した。足元では中古車販売大手のビッグモーターの保険金不正請求問題が勃発しており、就任2年目の白川儀一社長には重い課題が突きつけられている。今後の見通しについて、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)

2019~20年の販売網構造改革によって
代理店・損保の営業力向上に手応え

――自動車保険は自動車の修理単価の上昇、火災保険では災害の激甚化・頻発化に直面しています。二大事業の収益性悪化が進む中で、代理店を主体とした営業体制はこのまま続くのでしょうか。

 当社では2019年~20年にかけて、販売網の構造改革を行ってきました。その結果、以前と比較して高品質で自立化した代理店が増えてきました。

 正直なところ、廃業したり統合したりで代理店の数は減少したのですが、1代理店当たりの収入保険料は約2倍、16年度に平均約4700万円だったのが、22年度は約8800万円まで拡大しました。お客さまに選ばれ続ける高品質な代理店が増えていて、その結果、当社の元受け保険料も増えています。

 三メガ損保で比較すると、増収率は当社がトップとなり、マーケットシェアの改善率もトップでした。これは、恐らく9年ぶりのことです。代理店の実力が上がり、当社の営業力を一定程度示すことができたのではないかと思っています。

 課題は代理店のDX(デジタルトランスフォーメーション)なのですが、特に“X”の部分、つまりデジタル化の“先”にあると捉えています。保険会社としては、あらゆる代理店業務をモバイルベースで完結できる仕組みを整えていって、代理店の DXを支援していきたいと考えています。デジタル化の進展によって、どんどん変化していくお客さまのニーズに合わせて商品を開発し、品質の高いサービスを提供していきたいですね。そんな代理店網を、構築していきたいと思っています。