1つめは、「企業から何が評価されるのかを知っているかどうか」。そして2つめは、「企業から評価される力を得る機会が、与えられているかどうか」です。この2つめこそ、とくに親御さんの力をお借りしたい点です。

 まず1つめの「企業から何が評価されるかを知っているかどうか」。評価内容を事前に知って取り組んでいる人とまったく知らずに取り組んでいる人とでは当然、結果が違ってきます。受験にたとえれば、「記述式問題が多く出る東大を受けるのに、選択式問題ばかりをトレーニングしていれば、当然落ちるだろう」ということです。

 もちろん就活では、知識だけではなく実技面を評価する試験もありますが、それでも評価項目を知っているか知らないかで、やはり雲泥の差になります。

 この「企業からの評価軸」ですが、時代の流れを受けて、以前とは大きく変わっています。そこで問題となるのが、親御さんの時代錯誤な考えや結果につながらないアドバイスです。何気ない一言でお子さんの努力を否定してしまったり、親御さんのアドバイスの結果、方向性を変えたお子さんが時代錯誤な就活に切り替えてしまう、という事例は後を絶ちません。

 このような事態を防ぐためにも、親御さん自身にもまずは、現代の就活の評価項目を知っていただく必要があるでしょう。

 そして2つめの「企業から評価される力を得る機会が、(学生に)与えられているかどうか」。大学生は、社会について何も知らないといっても過言ではありません。職種ごとの楽しさややりがい、厳しさを知らないのはもちろん、仕事をするうえで必須の倫理・職業観も持っていません。これらは、多少アルバイトをしただけでは得られないものだからです。

 当然、多くの学生は「どの企業がいわゆる“いい企業”なのか」も、ほとんど見分けられないはずです。

 さらには、自分の通う大学や学部と業種・職種とのつながりも理解していないことも多くあります。「○○学部の学生は有利に評価しよう」という採用方針の企業は少なくありませんが、学生自身にはその視点がないので、わざわざ不利な企業ばかりを選んでしまうこともあるのです。

 このような、相手のことも知らず、自分の強みにも気づいていない状況で進路を選び、競争を勝ち抜けと言うほうが、無理というものです。

 もちろん、全員が全員、就活でつまずくと言うつもりはありません。しかし、「親御さんがうまく助言し介入してあげることで、お子さんの就活での成功の可能性が飛躍的に上がる」というのは、まぎれもない事実です。

 お子さんがしっかりと職業観を醸成する機会、選考で必要となる対策を行なう機会、自身の強みに気づき、アピールする力を養う機会を、親御さんが提供してあげることが、お子さんの就活の大きな助けとなるのです。