弟は決して落ちこぼれではありません。大学の成績もいいし、TOEIC(R)だって990点満点中、975点。「就活と勉強とは違う」と言われればそれまでですが、それにしたってとうてい納得できる結果ではありませんでした。

 自分自身の就活の経験と、弟の就活で感じた疑問から、私はその後、就活について研究をすることにしました。業界について、企業について、内定をもらえる学生ともらえない学生について、学生に対する評価基準について……様々な角度から研究を始めて5年ほどたった頃、ようやく、「就活の真実」が見えてきました。

就活生の7人に1人がうつになる時代
親は全力でサポートする

 さて、本稿を読んでくださっているあなたは、お子さんの就活について、あるいは将来について考えていらっしゃることと思います。

 人によってはまさに今、お子さんが就活中かもしれません。就活に苦戦しているわが子を見て、「おかしいなあ」と思っている方もいるでしょう。選考にバンバン落とされて落ち込んでいる様子に、心を痛めている方もいるでしょう。

 そんな方々に、私が身をもってお伝えしたいことは、

「お子さんだけでなく、親御さんも頑張り時は“今”だ!

 ということです。現代の就活は、本当にものすごく大変です。何十社も説明会を回って気の遠くなるような分量のエントリーシート(ES)を書き、筆記試験を受けて、一次・二次・三次の面接。時には圧迫面接(面接官が学生に対して意地悪な質問をしたり、わざと否定的な態度をとったりしてくる面接)を受けなければいけないこともあるでしょう。

 体力的にも精神的にも、就活はかなりつらいものです。事実、NPO法人POSSEが学生約600人を対象に調べたところによると、

「学生の7人に1人は、就活でうつ(就活うつ)になる」

 という結果も出ています。これほど就活はストレスフルなのです。

 さらに、その荒波を乗り越えて内定がもらえたとしても、その内定先に納得できないなどの理由で、入社後1年も経たずに会社を辞めてしまう若者もいます。こうしてキャリアに傷をつけてしまえば、その後も望む仕事には就けません。転職活動をしても社会の風当たりは厳しく、そのまま引きこもってニートとなってしまったりすることさえあるのです。そうなってから、

「就活をもっと頑張っていれば……」

 と思っても、取り戻すことはできません。「子どもの就活」といえど、お子さんの人生だけでなく、家庭そのものにもヒビが入ってしまうこともあり得るのです。