急浮上した8月下旬人事説で、最大の関心事は党役員の交代東京・永田町の自民党本部で、党役員会に臨む政調会長の萩生田光一、幹事長の茂木敏充、首相の岸田文雄、副総裁の麻生太郎。岸田がにわかに内閣改造・党役員人事に向けて動きだしたという Photo:JIJI

 酷暑が続き、政界も夏休みかと思いきや、首相の岸田文雄がにわかに内閣改造・党役員人事に向けて動きだした。従来のスケジュール感では「9月中旬人事」。それが前倒しされて「8月下旬人事説」が急浮上した。自民党幹部によると、岸田は8月18日から2日間の日程で、米国で開催される日米韓3国首脳会談に出席して、帰国後に直ちに人事に着手することになるという。8月22日には定例総務会が予定され、そこで党役員の辞表の取りまとめが行われる。

 岸田が今の閣僚、党役員を決めたのは1年前の8月10日。7月8日に元首相の安倍晋三が凶弾に倒れた直後の人事だった。政権内には人事先送り論もあったが、岸田はあえて人事断行による政権安定を目指すことを決断した。

 しかし、急場しのぎ的な印象が付きまとった人事はあちこちでほころびが生じた。とりわけ安倍の事件をきっかけに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との関係がクローズアップされ、人事にも影を落とした。関係があった閣僚も出て4閣僚が辞任した。

 自民党執行部体制も岸田を全力で支える「チーム岸田」とは程遠い状況が続いた。この人事で副総裁の麻生太郎と幹事長の茂木敏充が続投したほかは、総務会長が福田達夫から遠藤利明へ、政調会長が高市早苗から萩生田光一へ、選挙対策委員長が遠藤から森山裕へとバトンタッチされた。