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新生日銀はアベノミクスを初志貫徹できるか?
財務省、日銀、学者のバランス人事が持つ“真の意味”

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第266回】 2013年3月5日
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 アベノミクスの最も重要な部分を担い、金融政策の元締めである日銀人事が明らかになった。総裁には、現・アジア開発銀行総裁で財務省OBの黒田東彦氏、副総裁に日銀理事の中曽宏氏、もう1人の副総裁に現・学習院大学教授の岩田規久男氏が就任する見込みだ。

 この陣容を見ると、財務省出身の積極金融緩和論者で国際金融に強い黒田氏に加えて、日銀内部のことを熟知し金融実務に精通した中曽氏、さらに強烈なリフレ論を展開する経済学者である岩田氏の組み合わせとなる。一見すると、「財務省+日銀+学者」というバランスのとれた組み合わせに見える。

 しかし、実際の中身は見かけとは異なる。今まで日銀の金融政策を、「慎重すぎる」と歯に衣を着せず厳しく批判してきた黒田氏と、「日本がデフレから脱却できないのは、日銀の金融政策の問題」として、積極金融緩和策を主張してきた岩田氏の2人が、日銀の総裁・副総裁に座る陣容はかなり強力だ。

 その2人の間に、日銀内部から昇格する中曽氏が入る。中曽氏は黒田・岩田ラインと日銀の現場との調整役を期待されるだろうが、ときにかなり難しい役回りを演じることになると見る。

日銀批判派が日銀首脳に就任
安倍首相の思い通りの人事に

 今回の日銀人事は、ある意味では、安倍首相の思い通りの組み合わせだ。今後、アベノミクスの政策意図が、わが国の金融政策にそのまま反映されることになる。

 問題は、今後の金融政策が、株式や為替など金融市場が期待している効果を発揮できるか否かだ。仮に期待を裏切ると、金融市場が不安定な展開に陥り、わが国経済の低迷がさらに長期化することも考えられる。

 今回の日銀人事をひとことで言うと、従来の日銀批判派が日銀首脳に就任したということだ。財務省OBの黒田氏は、以前から手厳しく日銀の批判を行ってきた。比較的温厚なスタンスを取ることが多い大蔵官僚としては、かなり目立つ存在だった。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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