カウンターの下にはたいてい荷物をかけるフックがあるし、あるいは荷物かごが用意されている店も多い。もし、そうした手段が見当たらなければ、目の前のバーテンダーに「手荷物はどうすればいいですか」と一声かければいいだけのことだ。大人の空間において、そのひと手間をサボってはいけない。

 ぜひ肝に銘じておいてほしい、心得その2。手持ちの荷物をカウンターに置くのはご法度!

バーテンダーが求めている
お酒の頼み方とは?

 こうしてわざわざ言語化していると、座る前からあれこれ口うるさく指摘しているようで気が引けるが、初動でビギナーが押さえておくべきポイントは、およそこの2点のみと言っていい。これらを意識しておくだけで、第一印象で損をするリスクはぐっと下がるはずだ。

 その上で、ここからがオーセンティックバーを楽しむ本番である。居酒屋とはまた違った酒との出合いを、存分に楽しんでほしい。 

バーで一目置かれるウイスキーの頼み方とは?初心者でも怖くない「7つの心得」詳しくなくても、好みを伝えてみよう 写真提供:Satoshi Tomokiyo

 問題は何をオーダーするかだが、冒頭でも述べたようにメニューが見たらない店もある。しかしそこで「自分は酒に詳しくないから……」と萎縮する必要はまったくない。なぜならそこがバーである以上、目の前に最高のコンシェルジュ(バーテンダー)が立っているからだ。

 彼らは「明確なオーダー」を求めているのではない。

 あなたが何を飲みたいのか、要望を伝えてくれるのを待っている。しかしだからといって、何らかの酒を具体的に指名する必要はない。大切なのはバーテンダーに対していかにヒントを与えるか、だ。

 まずはビールで喉を潤したいのか。それともウイスキーを飲みたいのか。あるいはカクテルを楽しみたいのか。大まかなジャンルを絞り込んで伝えよう。

 たとえば詳しくなくてもウイスキーに挑戦してみたいなら、「以前に飲んだ○○という銘柄がおいしかったです」と言えば、バーテンダーはそこから好みの傾向を推し量り、手持ちのボトルの中から相応しい1本を勧めてくれるだろう。 あるいは、「クセのないものが飲みたい」でも「スモーキーなものにチャレンジしたい」でも何でもいい。

 また、それが2軒目、3軒目使いであるなら、「前の店ではワインを飲んで来ました」と伝えれば、ブランデーなど葡萄繋がりのとっておきを勧めてくれるかもしれない。「肉を食べて来ました」と言えば、舌に残る脂っこさを払拭するスッキリ系のカクテルをあつらえてくれるかもしれない。