アップルPhoto:Future Publishing/gettyimages

 1000ドル(約14万7000円)の「iPhone(アイフォーン)」が目を見張るような値段だと思われていた頃を覚えているだろうか。今となっては懐かしく感じられる。

 米アップルと韓国のサムスン電子が米国市場で1000ドル以上の製品を販売し始めたのは2017年だ。6年後の今、どちらもその価格で複数のモデル、さまざまなメモリー構成の製品を展開しているが、それは両社だけではない。米グーグルは、スマートフォン「Pixel(ピクセル)」の新製品で999ドル以上のものが4種類ある。サムスンとグーグルは、折りたたみ式ディスプレーを搭載した端末で2000ドル台にも手を伸ばし始めている。サムスンで最も高価な、1テラバイトのメモリーを搭載した「Galaxy(ギャラクシー) Z Fold5」は、税抜きで2159ドルだ。

 もちろん、誰もがこの値段を支払うわけではない。スマホメーカーや携帯電話事業者は慣れたやり方で値引きや端末の下取りを提供し、出費の痛みを和らげている。しかし、消費者の負担はそれでも増え続けている。IDCのデータによると、米国でのスマホの平均販売価格は2016年の409ドルから昨年は735ドルに跳ね上がった。年平均にすれば11%の上昇率で、この間のインフレ率の3倍以上だ。そしてこの数字には、200~300ドル程度の格安スマホも含まれている。アップルの最も高価なiPhoneの価格は、2017年の「iPhone X」から昨年発売された「iPhone 14」までの間に550ドルも上昇している。