「消費増税」経済学者は57%支持も国民は8%、乖離を解決する財政改革策はあるかPhoto:PIXTA

「解散風」が吹く中で
政治問題化した財源問題

「異次元の少子化対策」を掲げて政府が打ち出したこども未来戦略方針の具体的な財源の議論が秋から本格化する。

 児童手当の所得制限撤廃や高校生年代までの支給期間延長などさまざまな内容が6月の「骨太方針2023」に盛り込まれたが、財源確保は先送りされた。

 昨年末に改定された安保関連3文書に基づく防衛費の大幅増額も財源を巡り、国会や自民党内を舞台に政治が大きく紛糾し、政府は財源の大まかな方向性は示したものの、増税の実施時期は曖昧にされたままだ。

 一連の紛糾からも明らかなように、財源問題は、経済・財政問題というよりも政治問題化している。折に触れて「解散風」が吹き出す中、おそらく政権中枢や与野党議員が最も意識しているのは、経済・財政的な考慮よりも次の選挙であり、それに大きな影響を与える世論の動きだ。

 筆者らが行った財政社会保障制度のあり方についてのアンケート調査でも、経済学者と国民の間では財源問題、とりわけ消費増税では大きな乖離があることが浮き彫りになった。

 少子化対策や防衛費増額などの財源問題の鍵もここにありそうだ。