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父と娘の就活日誌

「志望理由」はどう書けばいい?

―― 実は一番厄介な「志望理由」の攻略法

楠木 新
【第18回】 2008年2月26日
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「何社くらい仮エントリーをしたんだ?」

「今は、全て合わせると60社くらい。でも最終的にエントリーシートを出すのは20社位かな。面接に進むのに提出しなくてもいい会社もあるんだ」

「この前のやり方で順調にいきそうか」

「書くのに結構時間がかかるよ。今は『志望理由』が書きにくくて困っているの」

「なるほど、昔、採用の責任者の時も厄介だったんだ、『志望理由』は。後ほど考えよう。」

友人との情報交換。
「学生同士だと不安になる時もある」

「友達とは、よく情報交換しているの?」

「2月半ばの試験期間までは学生食堂でよく話していたけど、最近は少なくなったよ」

「面接は、もう始まっているの?」

「私はメーカー系が多いのでこれからだけれど、金融関係は早いので、もう3回目の面接の人もいるよ。体育会のS君は、完全にメガバンクと決めていて、内定した先輩ともよく会っている。将来は海外勤務を希望しているしね。T君は地元にこだわって電鉄やガスなど関西から一歩も出ないつもりだよ」

「女性は地元志向の人が多いの?」

「地元九州の県庁と市役所を目指して資格スクールに通っていたI子は、民間を第1志望に変えたみたい」

「どうしてなの?」

「会社説明会で話を聞いているうちに、いきいき働くなら民間だと思ったらしい。友達が多いので大阪勤務が希望だよ」

「親御さんは淋しいわね」

「特にお父さんがそうらしい。ゼミが一緒のK子は、とにかく関西圏しか考えていないよ。だから電鉄や地銀、信用金庫は総合職で受けて、メガバンクやメーカーは、エリア総合職か一般職で応募するって言ってたよ。100社以上に仮エントリーしているので、毎日のメール処理だけで大変らしい」

「それも面白いね。地元志向が明確だと、企業によってエントリーする職種が変わるわけだ。お父さんは関西にこだわって大阪本社の会社にしたけど、もう本部はすべて東京になっちゃったよ。先見の明はなかったなぁ」

「これからも友達と連絡を取るといいわね」

「情報交換には役立つけど、同じ業界でダブっている人とは、あまり突っ込んで話しできないよ。面接結果まで踏み込むのは、お互いに嫌だからね。それによく分かっていない学生同士で話すと却って不安になる時もあるよ。」

自分を客観視してくれる人から
意見をもらう

 私達の日常生活は、会議で自分の意見を言うか言うまいか、部下にもう一度念を押すかどうか、居酒屋でのお酒の銘柄まで、毎日が選択の連続である。しかし人生の大きなイベントである就職や結婚でさえ、周到な準備と強い意志で選ぶのではなく、自分ではどうにもならない事柄に支配されている。先日、私が採用したS君は、もう16年選手の課長だが、「私は、楠木さんじゃなくて、A部長が最終面接者だったら、きっと別の会社で働いていましたよ」と屈託なく笑った。面接の相手次第で、社内結婚した妻とも知り合えていないという。

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楠木 新

金融機関に勤務するかたわら、「働く意味」をテーマに執筆、講演などに取り組む。12万部を超えるベストセラーになった『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『就職に勝つ!わが子を失敗させない「会社選び」』(ダイヤモンド社)など著書多数。近著に『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』(東洋経済新報社)がある。


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働く価値観が多様化する中、超売り手市場の環境下で、大学生はどのように企業選択をしていくのか。就職活動に臨む大学3年生の娘と父とのリアルな対話を通して、実状に迫る。

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