オウケイウェイヴ株11%を保有する筆頭株主の「公益財団法人こども未来創造基金」代表の佐藤悠太氏オウケイウェイヴ株11%を保有し筆頭株主の「公益財団法人こども未来創造基金」代表の佐藤悠大氏 Photo by Masato Kato

ウェブサイト運営のオウケイウェイヴが、異例の事態に陥っている。9月28日の定時株主総会で、株主提案が出ていないにもかかわらず、大株主との間で激しい委任状勧誘が繰り広げられているのだ。今回、会社側に金融商品取引法違反と指摘された大株主が、初めてメディアのインタビューに応じた。前後編の2回にわたり、株主側と会社側の主張を検証する。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

会社が「ウルフパック」疑惑を指摘する
財団法人代表が反論「経営陣に反対は当然」

 名古屋証券取引所ネクスト市場上場のオウケイウェイヴは、仮想通貨関連の損失や架空の投資話で巨額の被害に遭うなど迷走が続き、昨年8月、株主で創業メンバーの杉浦元氏が経営陣との委任状争奪戦(プロキシーファイト)に勝利し、新体制がスタートした。

 ところが今年9月14日、オウケイウェイヴは「委任状による議決権行使のお願い」を公表し、大株主から「ガバナンス体制を根底から揺るがすような要求」を受けていると明らかにした。11%を保有する筆頭株主の「公益財団法人こどもの未来創造基金」代表、佐藤悠大氏が、金融商品取引法に違反して複数の株主と共同してオウケイウェイヴ株を購入する「ウルフパック」を仕掛け、会社を乗っ取った上で裏口上場などを画策しているというのだ。

 その佐藤氏が今月、ダイヤモンド編集部の取材に応じた。佐藤氏は、オウケイウェイヴの主張を真っ向から否定し、むしろ経営陣こそ「株主が割を食うような行動しかしていない」と批判した。その一問一答をお届けする。

――オウケイウェイヴの公表資料では、佐藤さんが金融商品取引法に違反し、複数の株主と株を買い占めている「強い疑い」があると指摘されています。いわゆるウルフパック戦術の疑いがあるのですが、そうした行為を行っていますか。

 していません。

 確かに私は、オウケイウェイヴが5月に公表したデット・エクイティー・スワップ(債務の株式化、DES)に反対するために株の購入を目的として、6月上旬から数十人の株主に会ったり、連絡を取ったりしたことはありました。

 なぜなら昨年に株式を取得したころは160円くらいだった株価が、今年に入って50円台に低迷している状況で、杉浦氏の仲間に1株33円で有利発行しようというのです。6月に実施した株主割当増資の価格も33円でした。DESをはじめ、株価の下落を招く動きばかり行っている今の取締役会に反対するのは当然だと思います。

 私が話をした株主の方が、どういう株取引をしたかは分かりません。もちろんコントロールできませんが、少なくとも協調してアカウントを分ける目的で、オウケイウェイヴ株を取得しようなどという意図や行為は一切ないです。

 そもそもウルフパックなるものは、取締役側にバレて対策を取られないようにアカウントを分けて株式を買い進め、会社の経営権を奪うことだと思いますが、私は経営権の取得をマストとしていません。会社側は7月中旬に各株主から連絡が入り、株を買われたと認識したようですが、それなら株主総会の基準日である6月末の時点で堂々と、私個人で大量に購入し、大量保有報告を上げれば済む話だと思います。

――そもそも佐藤さんはなぜ、オウケイウェイヴ株を買ったのですか。