プロテインも
サプリメントだけど…

 では、運動、特に筋トレをしている人が飲んでいるイメージのある「プロテイン」はどうなのでしょう。水や牛乳などに溶かして飲む粉末状のたんぱく質です。

 結論から言うと、あれは筋トレ直後の栄養補給をする上では便利なもの。「不足している」とされた栄養素を補う目的に適うと言えます。筋トレをしている人の1日あたりの摂取するべきたんぱく質量(平均値)は一般的に体重1キロあたり1~2グラムとされます。ここから不足しているようであれば、プロテインからたんぱく質を摂取することも、大人であれば“アリ”だと言えるでしょう。

 ちなみに「筋トレ直後の」「便利」としたのには理由があり、食事のみ(安静時)で起きるたんぱく質の合成は短時間で終了してしまうものの、筋トレをすると24時間後まで継続することがわかっています。また、筋トレ後のたんぱく質の摂取は、たんぱく質の合成を大きく高めることも明らかになりました。

 このたんぱく質の摂取は、基本的に食事からで問題ありません。ただし肉や魚、大豆などの食品は消化吸収に2時間以上、脂質を多く含むとそれ以上かかるため、運動後の摂取には向かない、ということ。ここで、粉末プロテインは消化吸収が速いために便利です。

 たんぱく質の摂取タイミングと筋肉量の増加の関連について、複数の研究を分析した結果、運動後「なるべく早いタイミング」でのたんぱく質摂取が筋肉量の増加と関連していたことがわかっています。そのメカニズムは、まず、運動後は筋肉への血流が高まっていること。速やかにたんぱく質を摂取することで、筋肉に原料を集めやすくなるのです。また、筋トレ後には第4章で説明した成長ホルモンの分泌が高まり、20~30分後に血中濃度がピークになります。そのため、運動後20~30分がプロテインの「ゴールデンタイム」と呼ばれるのです。

 ただし、近年はタイミングよりも1日に摂取したたんぱく質の総量の方が筋肉量の増加と関連が高いという報告もあります。いずれにせよ、トレーニング後にたんぱく質を摂取することは必要だと言えそうです。

 一度に摂取しすぎてもムダになってしまうため、複数回に分けて摂取することを考えると、すべてを食事で賄うのも難しい面があります。時間や気力のないタイミングならなおさらです。筋トレしたあと、まず粉末プロテインを飲み、その後の食事でもたんぱく質を摂取する、というのが現実的でしょう。

 ただし、飲みすぎても意味がないどころか、飲みすぎると体に負担もかかります。そして、飲みすぎが起こりやすいのも粉末プロテインです。製品に記載された用量は、必ず守るようにしてください。