ジャニーズと戦った元文春編集長が、二度目の記者会見を見ても納得できないこと二度目の記者会見を開いたジャニーズ事務所。再生への道のりはどうなるのか。元文春編集長が語る Photo:REUTERS/AFLO

会見を見ながら脳裏に浮かんだ
ジャニーズ関係者の「あきらめの言葉」

「ジャニーズの常識は、世間の非常識」

 私は『週刊文春』時代、何度もジャニーズの幹部と会って話し合いをしました。その過程でずっと心に残っているのが、この言葉です。

 文春はジャニーズとの間に訴訟を抱えていたため、タレントが出ている広告を誌面で使用することが許されず、映像化された小説の帯に主人公役の俳優の写真を使う許可も下りないといった「嫌がらせ」が続きました。

 当時私が相対した顧問弁護士の矢田次男氏、スマイルカンパニー社長で同事務所の顧問でもあった小杉理宇造氏からは、話が具体的に煮詰まり出すと、困惑交じりにいつも同じ言葉が出ました。

「ジャニーズの常識は、世間の非常識。私たちは常識でものを言うんですが、メリーさんやジャニーさんの非常識の方が、通ってしまうんですよ」

 去る10月2日、ジャニーズ事務所が再生をかけた二度目の記者会見が開催されました。会見を見ながら私の脳裏には「ジャニーズの常識は、世間の非常識」という、関係者の愚痴ともあきらめともつかない言葉がよぎりました。
 
「ジャニー喜多川氏の痕跡をこの世から一切なくす」といった見出しを使い、メディア各社はジャニーズが再生のために一歩前進したかのように報じています。本当に痕跡をなくし、全く新しいジャニーズを創ることができるのでしょうか。二度目の会見を見て私が抱いた、率直な感想をお伝えしましょう。

 会見の幕開けから注視していると、用意された席は4席。東山紀之・井ノ原快彦両氏の出席は確実でしょうが、「あとの2人は誰だ?」と思っていたら、前回の会見を仕切った危機管理専門の木目田裕弁護士と、この度CCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)に就任したという山田将之弁護士でした。

 私にしてみると、このメンバー自体がすでに理解できません。