「努力賞を与えるような会社に、絶対に入ってはいけない」
そう語るのは、これまで3500社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「誰も言ってくれないことが書いてある」と話題の著書『とにかく仕組み化』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに、仕組み化のメリットを説いた。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「できる上司」になるためのマネジメント方法を解説する。(構成/種岡 健)

「努力賞を与えるような会社に絶対に入社してはいけない」その理由とは?Photo: Adobe Stock

「差があること」はメリットでしかない

 組織にいることのメリットは、やはり全員で大きな成果を出せることにあります。
 そのために責任を持ち、役割に徹しています。

 だから、人の上に立つ人は、「組織の利益」を選び取る必要があります
 平等に人を判断しないといけない。
 それが、「人」ではなく「仕組み」を見ることの本質です。

「平等かどうか」は考えれば考えるほど、難しい判断が必要です。

 たとえば、東京に本社があり、大阪に営業所を持っているとしましょう。
 その場合、東京と大阪では市場が異なるため、目標に差をつけなければ、平等になりません。

「大阪では、東京での目標の80%でクリアとする」

 と、ルールを決めたとしましょう。

 すると、東京の人は、「大阪の人はラクで羨ましい」と思うかもしれませんし、大阪の人は、「いや、もっと差をつけてくれないと80%すらも不公平だ」と思うかもしれない。
 そうです、人によって感じ方はさまざまなのです

 だから、人の上に立つ人は、「平等」の判断基準を覚悟を持って示すことが求められます。

「頑張っている人」が得をする会社

「平等とは何か」の意味をはき違えると、頑張りたい人が会社を辞めることになってしまいます。

 たとえば、年功序列で年齢給の会社があるとします。
「同じ年齢だから給料も同じ」というのは平等なのでしょうか。
 それは根本的に間違っています。頑張った人に報いるのが、本当の「平等」です
 そうすることで、頑張っている人は残り続けてくれます。

 ここで注意したいのが、「評価されなかった人の反応」です。
 誰が見ても明らかな基準で給料に差を設けることで、

「負けたことを正しく認識し、危機感が芽生える」

 という状況が生じます。
「次こそは頑張る」という意識につながるのです。
 それを前提にした「仕組み」をつくることで、「平等」になります。

 そのため、一定以上の成果をあげた人を会社が表彰(MVP)などで評価することは効果的です。
 それは、会社からのメッセージです。

「誰が明らかに勝ったのか」
「負けた人はどこを目指せばいいのか」

 ということを見えるようにする仕組みです。

 一方で、ムダな頑張りを褒めると、間違った方向に人は進みます。
「これさえやっとけばいい」という発想になります。
「評価」という仕組みは、それくらい慎重に扱うべきものです。

 評価すべきものを評価する
 評価すべきでないものを評価しない

 評価すべきでないものを評価すると、不満が続出します。
 なぜなら、評価はメッセージだからです。

 もし、残業時間がもっとも長い人が会社から「努力賞」を与えられたら、あなたならどう感じるでしょうか。
 おかしいと思うはずです。その違和感は正しいのです。

(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)