PETと同時に行うCT検査
米国では健康な人への使用は禁止

 その文書には、「(多くの施設がPETと同時に行っているCT検査について)食品医薬品局(FDA)は、症状のない個人の全身スキャンがスクリーニング対象の人々に害を及ぼすよりも多くの利益をもたらすことを示す科学的証拠を知りません。FDAは、そのような医療機器の安全性と有効性を保証する責任があり、CTシステムの製造業者が無症候性の人々の全身スクリーニングへの使用を促進することを禁止しています。」と明言されている。

 日本では、1年に1回程度なら心配ないとされているCTだが(若年層はNG)、米国では健康な人に検診で使用するよう勧めることを禁止されているという事実。一体どれだけの日本人が知っているのだろうか。

京大名誉教授が指摘
「NPの記事は非科学的」

 本件について筆者は、京都大学医学部名誉教授で生体肝移植を主導したことで知られる田中紘一氏に話を聞いた。

「NPの記事は非科学的でエモーショナル。PET検診WGの検証には意味がない。線虫検査の感度について科学的な検証をアンケートで行うと言っているが、アンケートで科学的検証を行なうことはできない。この学会は科学的とは何かを理解していないのではないか。
こんなことで、早期発見に有益なテクノロジーを潰してはいけない」

 まさに完全否定である。

 PETの機械は13億円~と高額だ。そのため検診は、10~20万円もするが、感度は低く、被爆する。この事実をPET検診GWはガイドラインでは認めているが、別途、全国PET導入施設にアンケート調査を実施した結果では「78%」の感度があったと主張して譲らない。

 陣之内医師に何度もメール取材を行なったが、ついに一言も、非を認めることはなかった。(ただし、「PET検診で他のスクリーニング検査の感度を検証することはできますか」との問いには、「(検証には)PETのみならず、他の多くの検査が必要となります」と返ってきた。6月の学会での検証は不適切な方法であることはわかっているようだ)また、「PETの感度は78%」の根拠にした論文のURLもお送りいただいたので目を通したところ、手法がアンケートという非科学的な方法であるだけでなく、PETの感度について不利になる数字は文中には若干登場するのに計算には含まれていない不思議な論文だった。この論文は日本核医学会の学会誌に査読を経て掲載されたというのだが、誰による査読だったのかも気になるところだ。

https://link.springer.com/article/10.1007/s12149-012-0660-x