1ドル=151円台後半の円相場を示す電光ボード=11月13日午後、東京都中央区1ドル=151円台後半の円相場を示す電光ボード=11月13日午後、東京都中央区 Photo:JIJI

円安再加速、151円台後半
物価上昇も円安が主因

 円安が止まらない。11月13日にはニューヨーク外国為替市場で一時、1ドル=151円92銭まで値下がりし、今年最安値を更新。約33年ぶりの円安水準(1ドル=151円95銭)に再び近づいている。

 10月31日には、日本銀行がイールド・カーブコントロール(長短金利操作、YCC)の「運用柔軟化」で長期金利が1%を超えることを容認したにもかかわらず、かえって円安が進んだ。

 アメリカの金利引き上げに終結点が見えたとの予想から、アメリカの長期金利が下落し円相場も11月4日には1ドル=149円になったが、9日、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が講演で金融引き締めに積極的な発言をしたことが契機になった。

 ドル円レートは2021年1月には1ドル105円程度だったから、この間に約5割円安になったわけだ。日本人は外国のものを買うのに、これまでよりも5割ほど多くの円を払わなければならなくなったのだ。日本人は、それだけ貧しくなったことになる。

 いまの経済の最大課題の物価上昇も円安が主因だ。だが物価上昇を問題だとする政府と、物価上昇率を引き上げるべきだとする日本銀行はそれぞれ矛盾した政策をしながら、円安はどちらも放置している。日本の経済政策は迷走がひどい。