自動収穫ロボットだけでなく
ピーマン栽培そのものをスマート化
AI農業で新規就農を促す

第1回:農業の変革「Agri X」は、「AgriTech」にとどまらない!新たなエコシステムを狙うベンチャー群の出現収穫ロボット「L」の開発者であるAGRISTの秦裕貴CTO。「L」は、2025年の市場投入を目指すが、キュウリの収穫への応用なども検証されている

農林水産省の令和3年産・野菜生産出荷統計によると、国内のピーマン総生産量のトップは茨城県、次いで宮崎県が第2位、3位に鹿児島県、4位 高知県と続く。

「高知県に青くて大きな唐辛子があるらしい」と聞き付けた宮崎の農業者が現地を見学し、栽培技術を学び始めたのが1963年のこと。しかし当初は、高知県産に比べると市場の取引価格は年平均で12円、出荷量の多い時期だと26円も差がついていた。

「高知に追い付け、追い越せ」と宮崎の農業者たちは品質改良運動に取り組み、県内統一の出荷基準も設けて宮崎産の知名度向上に努めてきた。その結果、今や冬季に出荷されるピーマンでは宮崎県は圧倒的なシェアを誇り、「京鈴」「京ゆたか」「みやざきグリーン」「みやこグリーン」などの秀逸な品種の開発にも成功している。

その宮崎県を舞台にピーマンの自動収穫ロボットを開発し、自らも農園を営んで若い人の農業就業を促し、まちづくりに貢献していこうとしている人たちがいる。宮崎県宮崎市の北隣、新富町にあるAGRIST(齋藤潤一代表取締役CEO)である。AGRISTには今、19人の従業員がいるが、6割が宮崎県外の出身者。役員5人のうちでも宮崎県出身者は1人しかいない。設立は2019年だが、すでにAGRISTから独立して鹿児島県で関連農園を運営している人もいる。