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父と娘の就活日誌

好きなことを仕事にするのがいいの?

楠木 新
【第2回】 2007年10月29日
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「最近、就職の資料が一杯送られてくるけれど、裕美の周りで、希望する業界や会社を絞っている人はいるの?」

「まだこれからの人が大半だよ。以前クラスが一緒だったS君は、旅行業界と決めて、来月旅行業の資格試験も受けるらしいけど。」

「もう具体的に決めている人もいる訳だ」

「両親が、かなりのアウトドア派で、本人も小さい頃から旅行の企画を立てることが好きだったらしいよ。」

「裕美は、昔、映画や演劇に関わる仕事をしたいと言っていたじゃない。」

「演劇はサークルでやってきたし、映画も好きだけど、それを仕事にすることはあまりイメージできないよ。」

「確かに『好きなこと』と『それを仕事にすること』との間にはギャップがありそうだね。」

 「好きなことを仕事にする」。このフレーズは、村上龍氏の「13才のハローワーク」で評判になった。たしかに子供に、仕事は辛いものだとか、我慢が必要だと教えるよりも、楽しい仕事に出会えることを強調するのは賛成だ。しかし、就活を控えた大学生が「好きな仕事」を求めて、本当にそれにたどり着くことはできるのだろうか?

 先日、労働経済を専攻するK大学の教授が、「今の大学生は、自分を確立できている訳ではない。何もわからずに入社して、自分の役割を自覚し、誰かのために働いていると実感する。これが、会社に定着する最も健全な姿だ」と私に語ってくれた。私自身を振り返っても、入社10年で、3つの職場を経験した時に、会社に貢献できる仕事の方向性を実感した。「好きな仕事」ではなく、「向き不向き」を把握したのがやっと10年目だ。

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楠木 新

金融機関に勤務するかたわら、「働く意味」をテーマに執筆、講演などに取り組む。12万部を超えるベストセラーになった『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『就職に勝つ!わが子を失敗させない「会社選び」』(ダイヤモンド社)など著書多数。近著に『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』(東洋経済新報社)がある。


父と娘の就活日誌

働く価値観が多様化する中、超売り手市場の環境下で、大学生はどのように企業選択をしていくのか。就職活動に臨む大学3年生の娘と父とのリアルな対話を通して、実状に迫る。

「父と娘の就活日誌」

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