ドラゴンボールの孫悟空のフィギュアPhoto:Pacific Press/gettyimages

からだと同じく、こころも傷を負う。ハガネの肉体が容易には得られないのと同様に、ハガネのような強いこころを持つことは難しい。だが、こころの傷を癒す力(=自己肯定感)を高めることは、日々の努力の範囲内だ。数々の精神疾患に苦しみながら現在はカウンセラーとして活躍する筆者が、「こころをはぐくむ言葉とはなにか?」を語った。※本稿は、中島 輝著『口ぐせで人生は決まる こころの免疫力を上げる言葉の習慣』(きずな出版)を一部を抜粋・編集したものです。

ギリギリの勝負をしている
大リーガーの明暗の分かれ目

身につけたい口ぐせ「アファメーションを習慣化する」

 自己実現の有名な手法に「アファメーション」があります。耳にしたことがある人、試したことがある人も多いのではないでしょうか?

 アファメーションも当然、とてもよい「言葉の食習慣」ですから、ここでも紹介したいと思います。

 アファメーションとは、「肯定的な自己宣言」のこと。思い描いている理想や、望む結果を言葉にして宣言し、自分自身に語りかけるのです。たとえ根拠がなくても、「できる!」と宣言することで、私たちの潜在意識はそうであると信じてくれます。これを利用して、理想を現実にする手法がアファメーションです。

 自己肯定感を高めるために、私は次のような言葉をアファメーションするよう、みなさんにおすすめしています。

「私にはできる、なんとかなる!」「私はツイてる、全部うまくいく!」「安心、楽しい、大丈夫!」。

 さらに、アファメーションは、現在完了形を使うともっと効果が高まります。「できる」よりも「できちゃった!」と言うのです。たとえば、「試験に合格しちゃった!」「仕事のプレゼンがうまくできちゃった!」「今日も一日うまくいっちゃった!」などです。

 こうすることで、実際に「できた」という完了のイメージを強く思い描けるようになって、アファメーションの効果は、さらに上がっていきます。

 これだけを聞くと、怪しい宗教のように感じる人もいるかもしれません。「ひとり言だとしても、『私にはできる!』なんて言うのは照れくさい」という人もいるでしょう。

 しかし、アファメーションの効果は、さまざまな実験によって実証されてきました。たとえば、ペンシルベニア大学の心理学研究チームは、メジャーリーグの全球団の選手たちの発言を徹底的に分析しました。発言に込められた楽観度と悲観度をチーム単位で調査したのです。

 すると、シーズン中にメディアに対して悲観的な発言をした選手の多かったチームは、翌年、前年の成績を下まわりました。一方で、楽観度の高い発言をする選手が多かったチームは、前年よりも好成績を上げていることがわかりました。この研究は翌年も続き、同じ結果が出たと報告されています。

 つまり、「できる」「大丈夫」と楽観的な口ぐせを習慣化している選手が多いチームは、よい成績を残すことができたのです。