岸田首相が「裏金疑惑」刷新人事とセットで絶対やるべき、起死回生の一手とは?Photo:JIJI

政治資金パーティー裏金疑惑で大揺れの自民党。岸田政権の低い支持率は、この先どうなるのでしょうか。アベノミクスが重視した「あるもの」と決別すれば、岸田首相は起死回生を狙えるかもしれません。(トライズ代表 三木雄信)

自民党安倍派の裏金疑惑で人事刷新
支持率最悪の岸田首相が絶対やるべきこと

 自民党安倍派の政治資金パーティー裏金疑惑を受けて、岸田首相は閣僚人事に踏み切るようです。松野官房長官、西村経済産業相に加えて、党の要職に就く萩生田政調会長や高木国対委員長、世耕参院幹事長にも疑惑が浮上。まさに、前代未聞の事態といえるでしょう。
 
 また、内閣支持率に関するNHK世論調査(2023年11月)では、内閣支持29%、不支持52%と、支持率が20年10月の岸田内閣発足以降初めて30%を下回りました。これは、12年12月に自民党が政権に復帰して以降、最低の水準です。岸田首相がかつてない危機に陥っていることは間違いありません。

 しかし、私はこの状況だからこそ、岸田首相が実行できる大きな政策転換があると考えます。それは、アベノミクスからの完全脱却です。ちょうど、日本銀行の植田総裁が異次元の金融緩和からの脱却を実行するであろうタイミングと重なっています。

 さて、ここで、アベノミクスと株価について、ざっくりと振り返ってみましょう。安倍政権では大規模な金融緩和など「3本の矢」を掲げ、在任中に株価は3倍近くに跳ね上がりました。そして「株価と政権支持率の連動」が取り上げられるようになり、安倍氏は「常に日経平均株価を意識しながら政治をしている」とまでいわれていました。

 翻って、23年の日経平均株価は5月半ばに3万円台を回復して以降、「バブル後の最高値」を何度も更新しました。そして11月20日、一時的に3万3853円に。実に、1990年3月から約33年8カ月ぶりの高値をつけたのです。

 岸田政権も賃上げや脱デフレを掲げ、経済を最重要視しています。安倍政権時と同様に、株価と支持率の連動があるなら、23年の日経平均の動きからすれば支持率は高止まりしているはずです。が、実際はどうでしょうか? 見るも無残な状況ですよね…。

 ここで考えてみたいのが、そもそも株価を「リアルタイムに反映される国民の政権への評価」とすることが、どれだけ妥当なのか? という点です。

 まず、株価を景気の先行指標とすることについて考えてみましょう。例えば、重要な経済指標の1つに、米国の景気先行指数があります。これは、調査機関のコンファレンスボードが、普通株500種の株価に加えて、週平均労働時間、消費財受注、新規住宅着工件数など10項目の要因から総合的に算出した指数です。

 このように、株価は確かに景気の指標の1つになるでしょう。しかし、米国の景気先行指数もそうであるように、それはあくまで10項目のうちの1つに過ぎません。にもかかわらず、どうして自民党は株価をそれほどまでに重視するようになったのでしょう。