ケース1:子どもの将来を憂える
40代父親の4億円作戦

 中流の上というか、上流の下のビジネスパーソン一家をイメージしたケースです。

 40代半ばに入り、自分は大企業で安定したコースを歩み、年収は1000万円に。

「東京では年収1000万円でも生活は苦しいよ」と言われる時代ではありますが、余裕がないわけではない。そんな父親の悩みは出来の悪い子どもがいよいよ成人したこと。

 この子の未来はこの子が切り開くとして、何か財産を残してあげられないか。そう心配していたとします。

 新NISAは18歳から使えます。18歳になった記念に子どもに贈与税の非課税枠を目いっぱい使って、財産を贈与してみましょう。

 毎年110万円までなら非課税なのですが、ここでは17年かけて新NISAの投資枠1800万円分いっぱいまで毎年110万円ずつ子どもに贈与して、子どもの新NISAで増やしていきます。

 投資するのは、ステップ2の理論から選ぶ「米国株S&P500連動型投資信託」一択です。これは、この後のケースすべてで同じです。1800万円の元金は、18歳の新成人が65歳の高齢者になる頃までに、複利のマジックでどれくらい増えているでしょうか?

 過去のS&P500の年平均増加率は過去50年の平均で8.1%です。この数字は40年で取ると8.7%、30年で取ると7.9%と多少ぶれますが、今回は「50年の平均、年利8.1%の複利」という前提で計算してみましょう。

 その結果は、元本1800万円が65歳までになんと4億600万円に。しかも贈与税ゼロのうえに、新NISAですから所得税もゼロ。

 これは、時間の長さが生み出すマジックです。長い長い時間の末に、齢(よわい)90歳を迎えたあなたは子どもに対して、「わしが残してやれるのはこの4億円じゃ」とやすらかな「ドヤ顔」を見せて人生を終えることができるでしょう。

「いや、うち子ども2人なんですが?」という人は、贈与額を900万円ずつ半分に分けて投資しましょう。子どもひとり2億円ずつで、しかも感謝はおそらく2倍です。

 この話、荒唐無稽に見えますが、制度上間違いなくできることなのです。