金相場は最高値圏「2000ドル」台で推移、米金利高でも高止まりする理由Photo:PIXTA

金相場は2023年12月に史上最高値を更新した。その後もほぼ2000ドル台を維持している。米利下げ期待はあるものの、ドルの実質金利は高止まりしているにもかかわらず、高値圏で推移している理由を検証した。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

 金相場(現物、出所:Refinitiv)は、2023年12月4日には1トロイオンス当たり2135.40ドルと、20年8月の2072.49ドルを上回り、史上最高値を更新した。その後、やや下落する場面もあったが、1月に入ってもおおむね2000ドル台を維持して推移している。

 以下では、10月に安値を付けた後、12月に最高値を更新する動きとなった秋以降の金相場を振り返ってみる。

 10月2日は、ISM(米供給管理協会)による9月の製造業PMI(購買担当者景況指数)が市場予想を上回ったことや、FRB(米連邦準備制度理事会)のボウマン理事やバーFRB副議長によるややタカ派的な発言を受けて、米長期金利上昇やドル高が進み、金相場を下押しした。

 6日は、9月の米雇用統計が発表され、非農業部門の就業者数が市場予想を大幅に上回ったことで、長期金利(10年物米国債利回り)が一時4.9%に迫って07年8月以来の水準に達し、金は1809ドルまで下落した。

 しかし、その後、失業率が横ばいだったことや平均時給の伸び鈍化を改めて評価して、長期金利は低下し一時4.7%台を付け、金は買い戻しが優勢となった。

 9日は、7日に始まったパレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃を受けて、安全資産である金が買われた。金相場は現物、先物とも9月29日以来の高値を付けた。

 金相場は13日に大幅に上昇した。イスラエルがパレスチナ自治区ガザでの大規模作戦の実施方針を発表し、戦闘の激化が想定される中、中東情勢の不安定化が懸念され、安全資産としての金需要が膨らんだ。

 18日は、前日にガザの病院での爆発で約500人が死亡したことを受けて、中東情勢の一段の悪化が懸念されて、リスク回避の金買いが膨らんだ。

 19日は、パウエルFRB議長が「最近の市場金利上昇で追加利上げの必要性が低下する可能性」に言及すると、相場は強気に触れた。加えて、イスラエルのガラント国防相がガザとの境界にいる部隊に「近くガザを内側から見る」と述べたと報じられたことも買い材料となった。

 9月のPCE(個人消費支出)価格指数が10月27日に発表され、コア指数の前年比伸び率がやや鈍化したものの、消費の伸びが強かった。強弱の材料が出たことで金相場への影響は相殺された。その後、イスラエル軍がガザへの軍事行動を強化すると発表したことで、金は2000ドルを上回った。