富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術#3Photo:Mario Tama/gettyimages

金(ゴールド)が不気味な輝きを放っている。地政学リスクの高まりを追い風に、円建て価格は直近で最高値を更新した。実物の裏付けを持ち、「安全資産」と称される金は資産防衛的な側面が注目されがちだが、市場では「守りながら攻められる“二刀流”」との声も。特集『富裕層がこっそり教える 狙い目&穴場 運用術』(全16回)の#3では、そんな金投資の勘所や今後の見通しに関し、相場経験が長い2人のプロの声を基にひもとく。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

「週刊ダイヤモンド」2023年11月11日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

“守りながら攻める”二刀流!?
「無国籍通貨」金が輝く理由

「守りながら攻められる、“二刀流”のような存在ではないか」。金(ゴールド)の動向に詳しい金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎・マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表は、金という投資先について、このように表現する。

 というのも、まず、金は伝統的に、現物の裏付けがある「安全資産」の筆頭格と位置付けられてきた。地政学リスクが高まると、基本的に相場の追い風となりやすい。急速な円安と相まって、今年8月には円建ての金価格(税込み)が史上初めて1万円台の大台に乗せ、話題となったことは記憶に新しい。

 最近では中東情勢が緊迫しているが、これも金相場の上昇を後押しする材料となっているのだ。


 だが、亀井氏は安全資産の側面以上に、金相場がこのところ急ピッチで水準を切り上げているのは、その「通貨性」が注目されているからではないかと分析する。

 何しろ、金は「無国籍通貨」とも呼ばれるが、特定の国の通貨や国債のような信用リスクがない。

 この点については暗号資産(仮想通貨)と共通するが、さかのぼれば、紀元前6000年ごろ、メソポタミア文明を築いた古代シュメール人が装飾品として用いたのが金に関する最古の歴史とされる。「金は人類史上、長きにわたって価値が認められてきたもの。仮想通貨とは本質的に価値が異なる」(貴金属スペシャリストの池水雄一・日本貴金属マーケット協会代表理事)というわけだ。

 次ページでは、金の通貨的側面がクローズアップされるようになった理由や、新興国を中心とした中央銀行が金を爆買いする背景、個人投資家にお勧めの投資法、今後の金相場の見通しなどについて、金相場を長年ウオッチするプロ2人の見立てを基に解説。安全資産や無国籍通貨との位置づけから投資家マネーの流入が続く、金投資について大解剖した。