「開智所沢」開校の衝撃

 埼玉に3校ある女子校を見ておくと、新たな入試「医進コース特別試験」を11日午後に設けて525人の受験者を上積みした淑徳与野は、13日1回でも1793人と前年より23人増やすなど好調である。医進コース特別試験は実倍率2.4倍とハードな入試になったものの、1回の方は同1.6倍とマイルドな結果に終わっている。
 
 浦和明の星女子は前年並み、大妻嵐山は入試回により増減が見られるものの、11日午後の適性検査型が期待ほど志願者を集めきれなかったようである。2校ある男子校は、城西川越が微増、城北埼玉が微減となった。共学校間での志願者争奪戦の影響は、男女別学校にはあまり及んでいない印象である。

 24年埼玉入試は、所沢に小学校と中等教育学校を開校し、入試制度を大きく変えた開智学園グループにかき乱された感もある。2万円の受験料を支払えば、グループ5校の入試は何回でも受けられる上、いずれかで合格を得ても、その権利を保有したまま他を受け続けられるという、類を見ないような設定になっている。

 志願者数の前年との比較はもとより、実倍率の判断もこれまでとはいささか変えざるを得ない状況といえる。10日午前の入試はいずれか一つと思いきや、例えば開智と開智所沢は併願しても単願でもよく、併願の場合はどちらを優先するか順位を書くといった具合である。

 とりあえず、10日午前の志願者数を見ておこう。グループ内では“本校”と呼ばれる岩槻にある開智が2525人(前年比+54%)、開智未来が79人(同+7%)、新設校の開智所沢が2311人と本校に迫っている。

 この開智所沢からの旋風の影響は、周辺の私立校に如実に表れているように思える。いずれも初回入試で見てみると、西武学園文理(狭山市)は10日1回が701人(同▲24%)、星野学園(川越市)は10日進学1回が484人(同▲14%)、西武台新座(新座市)は10日1回が187人(同▲19%)、細田学園(志木市)は微減、聖望学園(飯能市)は10%台半ばほど減らしている模様だ。

 県東部の東武伊勢崎線方面では、春日部共栄が好調な一方で、10日1回207人(同▲16%)の昌平(杉戸町)と11日1回1138人(同▲15%)の獨協埼玉(越谷市)は、志願者数がいずれも減少傾向にある。特に獨協埼玉は、獨協医科大への内部進学枠が確保されたことで話題になったものの、実際には男子校の獨協(東京・文京区)から進む例が多いこともあり、今後の奮起が期待されるところだ。