首都圏「中学受験」の行方を占う、埼玉と千葉の最新動向を解説【2024年入試版】11日午後新設の「医進コース特別試験」に525人の応募者があった淑徳与野(さいたま市中央区)

1月10日の埼玉県を皮切りに、2024年首都圏中学一般入試が始まった。全体的には微減傾向にあると予想される総受験者数だが、緒戦となった埼玉入試はどのような状況だったのか。出願者増が目立った入試を中心に振り返りつつ、20日から始まる千葉県の情勢にも触れていきたい。(ダイヤモンド社教育情報)

埼玉県で好調だった入試

 2023年と比べると、寒さも和らいだ印象の1月10日、埼玉県の一般入試が始まった。24年入試では、開智所沢中等教育学校(仮称)の開校、開智学園グループの入試の大幅変更、そして淑徳与野の新たな入試「医進コース特別試験」が話題となっている。これまでお送りしてきた四模試での予想倍率も交えながら、埼玉県の入試を振り返ってみたい。

 まずは、全国的に見ても最大規模の入試である栄東A日程から始めよう。志願者数は8023人で23年よりさらに154人増加している。前年同様、24年も10日と11日に分割して実施された。10日は5597人と434人増なのに対して、11日は2432人と274人減で、この動きは興味深い。11日の方が神奈川からの受験生が多いことが影響しているという説もあるのだが、いかがだろう。
 
 四模試では、A日程は女子がいささか緩和傾向だったものの、全体としては+2%の微増となっていた。その他の日程は、12日東大特待I、16日B日程、18日東大IIのいずれも予想倍率の通り、緩和傾向となりそうである。

 24年入試で志願者数が増加傾向にある学校としては、さいたま市の大宮開成と埼玉栄と青山学院大学系属浦和ルーテル学院、蕨市の武南、春日部市の春日部共栄が目立った。

 大宮開成は、保護者からの「鍛えてくれる学校」という期待に応えて、毎年のように志願者数を上積みしている。四模試で女子は、12日特待生選抜が上向き、14日2回はいささか緩和と予想されていた。実際はどうか。午前と午後に分けて実施された10日1回は2359人と前年比+17%、12日特待は同+10%、14日2回は同+3%と、いずれも増やしている。

 四模試で全体的に上昇気味だった埼玉栄は、すべての入試回で志願者数を増やしている。10日1回は1940人(前年比+13%)、10日午後2回は1556人(同+26%)、11日3回は805人(同+26%)、11日午後4回は610人(同+20%)、13日5回は518人(同+4%)といずれも23年を超えた。

 武南はOBでもある新校長と教頭のリーダーシップが発揮された形で、23年に続き20日1回が人気で、前年比+13%の834人となった。近年緩和傾向が続いていた青山学院大学系属浦和ルーテル学院は、10日1回が同+41%となる373人、13日2回が同+112%と倍増して176人にまで伸びている。

 春日部共栄も24年好調組の一員で、いずれもIT医学サイエンスコースとプログレッシブ政経コースの合計志願者数だが、10日1回午前316人(前年比+28%)、10日1回午後430人(同+27%)、11日2回午前297人(同+41%)、11日2回午後464人(同+56%)、15日4回348人(同+18%)のように、それぞれ大きく伸ばしている。