特に叱る原因になることというのは、メールで来ることが多いです。通常、「なんだこのメールは!」「わかってないじゃないか!」とカチンと来るかもしれません。しかし、メールで来たものをメールでやり返すと、ほんとうに酷いことになります。

 こんなときは、自分の感情を抑えるために一晩寝かして、感情が落ち着いたところで、その人と直接話すようにしましょう。その時に必要と判断できたら感情を使って話をします。

 私は、未来のクリエイティブプロデューサーをつくるという財団の理事兼塾長をやっています。そこであるひとりの男性、Aさんが目に留まりました。優秀で選抜組の5人に選ばれるほどだったのですが、自分中心で、周りの和を乱すようなことばかりしていました。それを正さないと先はないと思い、Aさんと話をする機会を設けました。

 Aさんの言動の問題は就職がなかなか決まらず、自分の思い通りにならないことが影響していたようです。

 そこで、Aさんにある方を紹介しました。メディア系の仕事をしたいということでしたので、某ラジオ局の編成局長です。話し合いが終わったあと、その編成局長からは「Aさんと話し合いをしました」と報告が来たのですが、Aさんからは一切報告がありません。

 そこでそのことについて真剣にAさんに注意をしました。本来なら「編成局長とお会いしてきました。ありがとうございました」と報告があってしかるべきだからです。

「人が人を紹介するとはどういうことなのか、ということをちゃんと考えたほうがいい」ということ、「人を紹介されたあなたは、紹介してくれた私と、会ってくれた人に対して、すぐにお礼をするということを習慣づけなさい」ということなど、本気で叱りました。そうした指摘を受けたのは初めてのようで「わかりました」と、私の言うことを理解してくれ、以後それはきちんと続けてくれています。

 この手の話は結構あります。以前私のところに大企業から出向に来た人がいました。私のかばん持ちみたいなことをやってくれていたのですが、あるとき会食にも同席してもらいました。会食の翌日「昨日はありがとうございました」とメールを入れ、この彼をCCに入れておいたら、「会食のあとはお礼をするんですね」と言っていたのを思い出しました。ビジネス上の礼儀については誰かが教えてあげないとわからないものなのです。気づかせてあげる、礼を尽くしている姿を見せてあげるというのは大事です。