生徒の学びを変える「開智」モデルの学校づくりで手掛けたこと日本の学習指導要領に国際バカロレアの要素を織り込むユニークなカリキュラムづくり

これからのグループ経営をどうするか

――栄東や埼玉栄などを擁する学校法人佐藤栄学園の創始者である故佐藤栄太郎先生とも親交がありました。

青木 佐藤先生の考えにはまず地域貢献がありましたので、さまざまな学力レベルの学校を埼玉県内に幾つもつくられました。学力の点で、佐藤栄学園がタテ並びとすると、開智学園はヨコ並びです。
 
 僕には日本の教育を変えたいという思いがあったので、同じモデルを広げていくためのきっかけをつくりたかった。生意気なことに、「将来は幾つも学校をつくるから」と平気で当時から公言していました(笑)。

――それは青木先生の経営ビジョンですね。確かに佐藤栄学園は、埼玉自動車整備技術学校(現・専門学校埼玉自動車大学校)から始まり、埼玉栄、埼玉栄東、花咲徳栄と高校を開校して、開智中学校開校の5年前に栄東中学校も開校しています。

青木 開智学園では、グループの学校間に多少のレベル差はあっても、オペレーションは基本的に同じような仕組みにしておいて、地域の実情に合わせ、校長の得意を生かしてもらおうという考え方です。

――開智小学校(総合部)が開校する前年(2003年)に、佐藤栄学園ではさとえ学園小学校(さいたま市北区)が開校していましたね。08年に栄太郎先生が亡くなり、ご長男が第2代理事長に就きましたが、それから先は新しい学校はつくられていません。開智学園はこれからも新たな学校を手掛けるおつもりですか。

青木 オファーがあれば(笑)。

――これだけ1人の先生が学校をつくられたことはいままでないのでは。

青木 僕はうちのグループ校が増えることではなく、うちみたいな教育をやってくれる学校が増えることが一番大事だと思っています。とはいえ、IBが入っているかどうかの違いだけで、東京の進学校は皆そのような教育をやっています。もっとすごいことをやっている学校もありますから。

――開智の一番上のクラスの授業を見ましたら、大学でやるようなことをやっていました。子どもたちに合わせた結果ですね。

青木 もっと子どもたちが、自分で勉強するような仕掛けを考えないといけない。今日もこれから教員の採用面接ですが、若い先生が「探究」という言葉は知っていても、具体的にどのように授業をしていくかが大学で学べていません。

 ということは、大学が変わらないとダメですよね。インターンがうちにも来ますが、こういう授業が自分にできるのかと悩んでしまう。大学の先生も変わらないといけない。

>>(3)に続く