モーター/バッテリー容量は、カジュアルが99kW(135ps)/48.6kWh。上位3グレードは150kW(204ps)/64.8kWh。一充電当たりの航続距離はWLTCモードで456~625kmと余裕たっぷり。ちなみにボディサイズは4355×1825×1590mmと手ごろにまとめられている。

 ヒョンデは、2度目の参入となる今回、オンライン販売のみという試みを行っている。それゆえ購入を希望しても実車とコンタクトできる機会が少ないのは事実。初めてアイオニック5(同4635×1890×1645mm)を目にする人からは「これほど大きいとは思わなかった」という声も聞かれるという。その点、コナが日本の環境にフレンドリーな存在であることは間違いない。

 コナにはBEVだけではなく、バリエーション中に3気筒1Lもしくは4気筒1.6Lのターボ付きガソリンユニットを搭載する純エンジン車と、4気筒1.6Lユニットをシステムに組み込んだHEVバージョンが存在する。

 ただし、日本での販売は「BEVもしくはFCV、ゼロエミッション車に限る」という新ポリシーを尊重し、エンジン搭載モデルを導入する予定はないという。つまり、ヒョンデの日本戦略は多くの台数を販売することだけが目的ではないようだ。輸入車を含め熾烈な販売競争が展開される日本で確実な評価を獲得するのが主要命題。それをグローバル市場での飛躍に繋げるという、いわば“リトマス試験紙的な市場”と割り切りっている。

日本に合わせた最適セッティングを採用
滑らかな走りと、優れた操作系が好印象を加速

 見方によっては“試験販売”とも受け取られかねないが、日本仕様へのローカライズは完璧と思える水準だ。

 ディスプレイ内の表記がすべて日本語化されているのを筆頭に、ウインカーレバーはISO規格のコラム左側から右側へと移設され、取扱説明書も完全な日本語対応。極め付けは“エコ/ノーマル/スポーツ/スノー”と4ポジションを用意するドライブモード。エコとノーマルは発進時の飛び出し感を落としぎみにし、スポーツは逆によりダイナミックさを際立たせるためゲインを上げぎみにした。日本で徹底した走りこみを行い、専用チューニングを施したという。

 ドライバーズシートに腰を降ろす。SUVらしくアイポイントがやや高めである一方で、床下にバッテリーを敷き詰めたBEVにありがちなヒール段差(フロアから着座点までの高低差)が不自然に小さい印象は皆無。これは、フロント部分を薄くしたバッテリーパック形状を採用したメリット。複数のパワーソースを用意するが、コナはBEV優先で開発を進めて来たという。

 省スペース化と使い勝手のよさを両立したシフトセレクターでDレンジを選び、ノーマルモードで走り始める。日本専用チューニングの効果もあってかさまざまな環境下でアクセル操作に対する違和感は皆無。BEV特有の高い静粛性と滑らかな加速感が味わえた。ただし速度が高まるとロードノイズは目立ちぎみ。路面補修跡を低速で通過するシーンでは、タイヤ踏面がやや硬いような振動感が伝わってくる。試乗車は235/45R19サイズのタイヤを履くラウンジだったが、街乗りシーンの快適性を重視するならば215/60R17のカジュアルもしくはボヤージュがよさそうだ。

 タイトなワインディングロードでアクセルペダルを深く踏み込む。グリップ力や走りの安定感に文句はない一方で、ステアリングフィールにやや粗さが目立ってくることに気がついた。具体的には、アクセルワークによって保舵力が微妙に変化をしたり、コーナーからの脱出時にトルクステアを感じたりした。必ずしもフィーリングが洗練されているとはいえない。