「漬物メーカー」がピンチ!この春、老舗の廃業ラッシュが懸念されるワケ【東京商工リサーチが解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

日本の食事に欠かせない漬物業界が揺れている。改正食品衛生法の施行後、猶予されていた漬物製造業の営業許可の取得期限が2024年5月に迫っているためだ。食中毒への対策強化などが法改正の主な柱だが、営業許可には衛生基準を満たす施設が必要になる。小・零細規模の事業者の間では、営業許可の取得を諦めて廃業する動きも出始めている。(東京商工リサーチ情報部 後藤賢治)

漬物への支出額が
2000年以降で最少に

 コロナ禍で漬物業界は利益が落ち込み、倒産も高止まりが続く。東京商工リサーチ(TSR)では、まさに岐路に立つ漬物業界を分析した。

 野菜漬物メーカー207社の最新期(2022年10月期~2023年9月期)の売上高は合計2187億700万円(前年比0.1%増)とほぼ横ばいにとどまり、最終利益(以下、利益)は7億4200万円(同78.1%減)と大きく落ち込んだ。

 野菜漬物メーカーの2023年の倒産は前年と同じ10件で、過去10年間では3番目の高水準だった。一方、倒産以外で事業を停止した休廃業・解散は、2023年は11件(同42.1%減)にほぼ半減した。漬物業界は長く需要減退が続いており、構造的には斜陽産業の一つともいえる。個人企業や小・零細事業者が多い漬物業界は、改正食品衛生法の影響が水面下でじりじりと広がっている。

 日本人は漬物を食べなくなったのか。総務省「家計調査、1世帯当たりの年間品目別支出金額(総世帯)」によると、梅干し、だいこん漬、はくさい漬、他の野菜の漬物への支出額は2000年の9924円から減少をたどり、2012年はついに7000円を割り込んだ。

 その後、2018年に7000円台に回復したが、コロナ禍の2022年は6494円と、2000年以降で最少を更新した。

 品目別に2000年と2022年を比べると、梅干しは2000年1522円から2022年1141円、だいこん漬は同1164円から同829円、はくさい漬は同886円から同473円、他の野菜は同6352円から同4051円と、いずれも大きく減少した。

 お米離れや中食の総菜の台頭、少子高齢化などが需要低迷の背景にあるとみられるが、近年は巣ごもり需要の反動、食品価格の高騰による買い控えなども影響しているとみられる。