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辛い現実を癒す“郷愁の味”に群がるサラリーマン
「ナポリタンスパゲティ」はかくして返り咲いた

田島 薫
2013年3月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
気取らずリーズナブルに楽しめる――。この定番感こそが、誰にでも愛されるナポリタンの魅力だ(写真はイメージです)

 今、街ではナポリタンスパゲティの人気が再び高まっているという。少し甘めのトマトケチャップの懐かしい味わいが大人の郷愁を誘い、一方で若者には新鮮に映っているようだ。

 広く喫茶店チェーンを展開するプロントコーポレーションでは、「くせになるナポ~リタン」(780円)を約180店舗に投入。スパゲティ類でも常に上位の売上をキープしているという。サラリーマンたちはもとより、若い女性にも人気だ。

 また、都心部で6店舗を展開する「スパゲティーのパンチョ」は、定番のナポリタンを650円とお手頃価格で提供。並盛り400g、大盛り600gと、同料金でサイズも選べる。他にも、チーズや厚切りベーコン、目玉焼きなど多彩なトッピングが楽しめて、老若男女に愛されている。

 筆者も渋谷店で、定番のナポリタンをいただいた。地下1階にある店内は、80年代の歌謡曲が流れ、早い回転ながら常に満席という状態であった。ひとりでフラリと立ち寄る、30~50代くらいの男性サラリーマンの姿が多い。

 そしてナポリタンは、かなり麺が太く、絶妙なソースの旨みに思わず唸った。素朴で優しい味わいに、子ども時代の思い出が蘇るようだった。純粋に、ナポリタンをこよなく愛するリピーターたちに支持される理由もよくわかる。

 このパンチョを運営するのは、ナポリタン専門の企業「B級グルメ研究所」だ。サラリーマンの隠れ家を提供し、そして大人も安心できる味を広めたいと、B級グルメの復権に注力しているのだ。

 さて、このナポリタン、実は名前から連想され易いイタリアのナポリではなく、この日本が発祥の地であることをご存知だろうか。その元祖となったのは、横浜が誇る老舗高級ホテルのホテルニューグランドだ。

 戦後間もなくナポリタンは誕生し、日本の洋食文化と相まってその人気は広がったが、バブル期に本格派パスタ料理が市場を席巻したため、影を潜めた。再び復調の兆しが見え始めたのは、この2~3年のことだ。全国に広がったB級グルメブームや、経済の閉塞感から定番メニューへの安心感が生まれたことが、背景にあるという。

 筆者が目にした、ナポリタンを愛おしそうに楽しむサラリーマンたちの姿からも、ノスタルジックな味わいと空間に安息を見出す様子がうかがえた。辛い現実社会を束の間離れ、安らぎや幸福感を手軽に得られるのも、ナポリタンをはじめとしたB級グルメが愛され続けられる理由なのかもしれない。

(田島 薫/5時から作家塾(R)


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