MW M専用モデルの新たなSUV「XM」が“全く新しいスポーツカー”である訳
*本記事はMEN’S EX ONLINEからの転載です。

キドニーグリルもボディもドでかい

 あのミッドシップスーパーカー「M1」以来となるM専用デザインモデル。時流とはいえ何もSUVにしなくてもいいのに。ドイツプレミアムブランドで専用デザインの高級スポーツカーを持っていないブランドはBMWのみ。ライバルのメルセデスAMGにはGTがあるし、アウディスポーツにはそろそろ生産終了とはいえR8があった。BMW Mのスーパースポーツも見たかったのだが…。M3 CSL があるじゃない? いやいや、そういう派生モデルではなくて…。

 もっともXMにしたところで最初からM専用デザインのモデルとして開発されたわけじゃなかった。当初はX7のクーペ版、あえていうならX8、として企画されていたモデルだ。超大型の高級SUV市場におけるスペシャリティモデル=5ドアクーペの需要は最上級モデルに集中しそうなので、ハナからM専用として箔をつけて売った方がビジネスになると踏んだらしい。パワートレーンは1種類のみ。スペック違いでスタンダードとレーベルの2グレード構成とした。

XMボディサイズは全長5110×全幅2005×全高1755mm。価格は2130万円となる。2023年10月には、さらにハイパフォーマンスなグレード「レーベル」を追加、価格は2420万円。

 日本で初めてXMと対面したときには、さすがにでかいと思った。初見はアメリカ・アリゾナ州スコッツデールで、あそこはなんでも広くてでかいからさほど気にならなかったけれど、日本ではその時より1.5倍くらい大きく見える。キドニーグリルもでかけりゃボディもドでかい。異様な存在感で、注目度はなるほど凄まじい。

 23インチという自転車のようなタイヤを履いている。そのライドフィールは予想通りかなり硬め。街中から首都高くらいまでの速度域では、運転席もそれ以外もまずまずきつい。優秀なシートのおかげで内臓にショックがビシバシと届くことだけはなかったが、まるでくり抜いたインゴットに車輪をつけて転がっているような硬さだった。