実家にもう一度、活躍の機会を用意してあげる

 しかし、実家は自分にとって思い出深い場所ですし、実家にもう一度、活躍の機会を用意してあげようと考えるのはごく自然なことではないでしょうか。

 いずれは売却するにしてもいますぐである必要はありませんし、売却までの間ほとんどリスクなしで副収入を得ることができたらどうでしょう。さらに、地域の人たちに手頃な賃料でゆったり暮らせる生活の場を提供し、ささやかながら地域経済の活性化につなげることも可能です。

 私自身、これからは本業である不動産投資と大家業だけでなく、誰も住まなくなった実家を再生して活躍させる正しい知識と誰にでもできる空き家活用ノウハウを発信する活動に本腰を入れて取り組んでいきたいと思っています。

 この連載では私自身の体験やコンサルティングの実践を通して蓄積したノウハウとスキルをもとに、誰も住まなくなった(住まなくなりそうな)実家を慌てて売ったり、建物を取り壊したりするのではなく、きれいに片付けてそのまま貸し出すための考え方と方法論をお伝えしていきたいと思います。

 先ほども少し触れましたが、私の実家は岡山市にあり、父が亡くなってから一人暮らしをしていた母親も4年前に亡くなりました。「どうしたものか」と思いつつ、コロナ禍の間は見に行くこともできませんでした。

 ようやく昨年、重い腰を上げて実家の整理に着手し、いろいろなテクニックを駆使して3ヵ月後には貸し出すことができ、いまは毎月8万円の家賃が入ってきています。

 ほかにも、私の周りでは誰も住まなくなった実家を貸してうまくいっているケースがどんどん増えています。皆さん驚かれますが、別に立地が良いとか建物が新しいとかは関係ありません。その理由についてはしっかりとこの連載で説明していきたいと思います。皆さんが持っていらっしゃる実家でもきっと少し工夫すればできるはずです。

 この連載では、次のような方の疑問や関心にお答えしていこうと思います。

① 誰も住まなくなった地方の実家をなんとかしたい
② 親が施設に入っていて実家が空き家になっている
③ 両親はまだ健在ではあるものの、将来実家をどうするか気になっている
④ 都会で暮らしながら田舎の実家から副収入を得られたらうれしい
⑤ 可能なら実家の再生をきっかけにした不動産投資にも興味がある
⑥ 自分が亡くなった後、家のことで子どもに負担をかけたくない

 この連載を読むことによって、誰も住まない地方の実家で悩んでいる多くの方たちが、自分の人生の中で大切な存在であるはずの実家と向き合い、もう一度実家が地域社会で役に立つ機会を用意し、自分たちも経済的なメリットを得られるという道を歩んでもらえたら、こんなにうれしいことはありません。

なぜ「空いた実家」は、そのまま貸した方がいいのか?イラスト/春仲萌絵

(本原稿は、吉原泰典著『「空いた実家」は、そのまま貸しなさい』を抜粋、編集したものです)