木造住宅写真はイメージです Photo:PIXTA

親が亡くなったら実家の建物をどうするか。売るのか、貸すのか、そうした判断を先送りしたまま放置している物件はまさに金食い虫だ。実際、タレントの松本明子さんは、空き家となった実家の管理に1800万円を使ったという。2038年には、国内の空き家総数は2300万戸になるとの予測もあるなか、この問題は、誰にとっても他人事ではない。※本稿は、『今すぐ、実家を売りなさい 空き家2000万問題の衝撃』(光文社)の一部を抜粋したものです。

空き家に2000万円の出費が!
放っておくと大変な損害が発生

 少し前に、「老後2000万円問題」という言葉が流行しました。ニュースでも多く取り上げられ、シニアの多くの方がわが事として考えたことと思います。同じように「空き家2000万問題」も、近いうちに起こりうる問題としてわが事にしてほしいのです。この切迫した問題をなぜ「2000万問題」と呼ぶのか、簡単に解説したいと思います。

 90パーセント以上の家は、十分使える状態なのに空き家のままになっているのです。それはなぜでしょうか?

 一番多く見られる理由は、手を付けるのが面倒だから。固定資産税や火災保険などの出費があったとしても、税金を払っていた方が気持ちの上では楽に感じるくらい、おっくうなのです。

 あるいは、兄弟や親戚の間での意向がまとまらない。兄弟や親戚の揉め事になるくらいなら、放っておいた方がいい。そんな事情も見られます。

 そして、そのこんがらがった糸をどうほぐしたらいいか分からない。どこから手を付けたらいいか分からない。

 そうして持ち主が気持ちに踏ん切りをつけられず放置されている物件には、誰も住んでいなくても、毎年の固定資産税や火災保険、電気やガス、水道などの公共料金、庭木の剪定代などがかかってきます。自分が住んでいる家なら必要経費と思ってあまり気になりませんが、住んでいない家による出費は気が重いものです。

 そして、10年も20年も空き家のままにしていたら、500万円、1000万円といつの間にか出費が累積してしまうのです。

 さらに、人が住んでいない期間が長いほど家は傷んでしまいます。たとえ空き家の活用方法が見つかっても、遺品整理や残置物撤去などの片付け代やリフォーム代がかさんでしまいます。

 片付けでは、ゴミの処分費用そのもの以上に作業の人件費が大きく、100万円単位でかかります。ちなみに片付け業者に頼むときには、見積もりにバラつきが出ることが多い業種なので、必ず数社に見積もりを出してもらって選ぶことをおすすめします。

 リフォーム代も家が傷んでいるほど、当然高額になります。結局、長年家を放置していたために、2000万円くらいかかってしまった……ということになりかねないのです。