もちろん、シーン・状況に応じて、さまざまな回答のバリエーションがあることだろう。

その時の私の上司は理由をこう語っていた。

「祝電を会社宛てではなく、自宅宛てに送れるかどうかが腕の見せどころだ」
「祝電は、昇格した本人じゃなくて家族に見ていただきたいんだよ。自分の昇格を家族に伝える機会はなかなかないからな」
「だからこそ、広告代理店が祝電を通じて、『あなたのご主人は評価を受け、昇格した。さらに広告代理店の役職付きの人間から祝電が自宅に届くほど大切にされている存在だ』と伝えるべきなんだ」

つまり、A.「祝電を当人だけでなく、“ゲストのご家族”にも見てもらうことで、ゲストの喜びを最大化するため」である。

贈り物は「相手が喜ぶこと」が一番大切

もちろんこれが必ずしも正解というわけではない。相手との関係性によって、この方法には是非もあるだろう。

注:テレビ局―広告代理店間というのは互いに一蓮托生のパートナーであることから、そういった踏み込んだ取り組みまですべきだというのが先の祝電の背景だ。画一的に「自宅に祝電を送るべきだ」とアドバイスしているわけではないと明記しておく。

ただ、このクイズを通じて、「相手を大切に思うとは、どういうことか」がわかっていただけるのではないかと思う。

プライバシーが重要視される昨今のビジネス環境においては議論の余地があるにしろ、「贈り物は、相手が喜ぶかどうか」が大切なのだ。

なぜこのプレゼントを相手に渡したいのか」。このストーリーをどう作るかが、センスのある人とない人を分ける差であり、相手が生涯大切にしたいと思える贈り物を用意するための極意と言えるだろう。

(本記事は、『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の一部を抜粋・編集・加筆したものです)